PR

エクセル在庫管理表の作り方|自動集計で資材管理・物品管理のシステム化

Thumbnail for エクセル在庫管理表の作り方|自動集計で資材管理・物品管理のシステム化

「Excel(エクセル)で在庫管理をしたいが、どんな表を作ればいいかわからない」

そんな疑問を持つ方に向けて、この記事では在庫管理表の種類と選び方から、資材管理・物品管理にも対応した自動集計システムの具体的な作り方まで、順を追って解説します。

Excelのバージョン

本記事は、Excel 2024(ローカルまたは共有フォルダでの運用) を前提に作成しています。
環境によっては、UIなど細かな点が異なる場合があります。

在庫管理表の「3つのスタイル」:目的と難易度で選ぶ

在庫管理表のスタイルは、おおまかに「一覧型」「単票型」「移動表型」の3つに大別されます。各スタイルの特徴・メリット・デメリット・向いているケースは下記の通りです。

 

① シンプル:現状把握に特化した「在庫一覧表(リスト)型」

在庫一覧表(リスト)型

在庫一覧表(リスト) は、 商品名と「現在庫数」だけを並べた 1つの表で管理する形式で、Microsoftのテンプレートでも最も多い形式です。

  • メリット : 作成が非常に簡単で、現在の状況が一目でわかる。
  • デメリット : 「いつ、誰が、何個入れたか」という履歴が残らないため、在庫ズレの原因を追えない。
  • 向いているケース : 商品数が極めて少ない、または「たまに在庫を確認するだけ」でいい小規模な備品管理。
 

② 履歴重視:1商品ごとに動きを追う「単票(吊り下げ票)型」

単票(吊り下げ票)型

単票(吊り下げ票) は、 1つの商品に対して1つのシートや表を作成し、日付・入庫・出庫・現在庫数を縦に記録する 形式です。

  • メリット :特定の商品の動きが時系列で追いやすい。
  • デメリット : 商品数が増えるとシート数が膨大になり、全体像が見えにくくなる。
  • 向いているケース : 商品数が少なく、1点1点の動きを詳細に管理したい現場。
 

③ 全体の閲覧重視:一覧で全体の動きを俯瞰する「在庫移動表型」

在庫移動型

在庫移動表型 は、 1枚のシートに全商品と日付(横軸)を並べる 形式です。

  • メリット :1枚に収まるため全体を俯瞰しやすく、「現場で印刷してチェックする」「会議で配布する」といった用途に最適。
  • デメリット :日付が増えると横に長くなりすぎ、数式の管理も複雑になる。
  • 向いているケース :「今月1ヶ月の動きを1枚の紙に印刷して確認したい。報告に使いたい。といった、切り出された期間での全体像の可視化に最適。
吉峰
吉峰

PC上で入力を完結させ、「計算ミスをゼロにしたい」「自動で現在庫数を集計したい」と考える方には、次の章で紹介する 「自動集計システム」 が最適です。

実践|自動集計できる在庫管理表の簡単な作り方

「在庫一覧(マスタ)と「入出庫履歴」を分離したデータベース形式 を採用することで、計算ミスがなく現在庫数が常に自動集計されるExcel在庫管理システム が構築できます。在庫一覧表(リスト)型のような「見やすい一覧表」と、単票タイプのような「詳細な履歴管理」を両立させた仕組みです。

在庫管理システム
吉峰
吉峰

2つのテーブルはそれぞれ別のシートに分割しても問題ありません。

ここでは、管理項目の定義から数式の設定まで、準備と3つのステップに分けて解説します。

 

準備:資材管理・物品管理の項目定義

システムを作る前に、「何を管理すべきか」を決める必要があります。

資材管理・商品管理に共通する基本項目は下記の5つです。

  • 品番
  • 商品名
  • カテゴリ
  • 保管場所
  • 単位

「資材管理」特有の項目として、下記も追加で検討します。

  • 規格
  • ロット番号
  • リードタイム(発注から納品までの日数)
  • 最低在庫数(発注点)

管理目的によって必要な項目は異なります。下記の比較表を参考に、各自の運用に合った項目を選んでください。

カテゴリ項目例商品管理(販売用)資材・物品管理(社内・現場)
基本品番、品名、カテゴリ、保管場所必須必須
詳細規格、仕様、メーカー◎(重要)
補充リードタイム、発注単位、発注先◎(業務継続に直結)
追跡使用者、用途、案件番号×◎(責任の明確化)
品質ロット番号、消費期限〇(対象による)
 

作成手順:3つのステップで構築

在庫一覧表(マスタ)と入出庫履歴の2つのテーブルを作ります。

ここでは、Excelのテーブル機能を使います。メリットは、データを追加した際に参照範囲や数式・書式などが自動調整され、手作業でのメンテナンスが不要になるということです。テーブルデザイン タブの「テーブルスタイル」欄からデザインも簡単に変えられます。

数式の自動拡張や書式の継承など、在庫管理を支える「テーブル機能」のメリットは下記で解説しています。

STEP1

在庫一覧表(マスタ)を作成する

全商品の基本情報と現在庫数をまとめた「在庫一覧表(マスタ)を作成します。セルに項目を記入したら、テーブル化(ショートカット:Ctrl + Tし、テーブル名を設定します。

【テーブル名:M_在庫

品番商品名カテゴリ規格・仕様単位現在庫数発注点状態
(手入力)(手入力)(手入力)(手入力)(手入力)(手入力)
在庫一覧表(マスタ)を作成する

テーブル名の設定方法

テーブルのセルを選択した状態で、テーブルデザイン タブの「テーブル名」欄にテーブル名を入力します。

STEP2

入出庫履歴テーブルを作成する

「各商品が何個、入庫/出庫(増加/減少)したか」を時系列で記録する入出庫履歴テーブルを作成します。セルに項目を記入したら、テーブル化(ショートカット:Ctrl + Tし、テーブル名を設定します。

【テーブル名:T_入出庫

日付品番商品名単位区分増加数減少数担当者備考
(手入力)(手入力)=XLOOKUP([@品番], M_在庫[品番], M_在庫[商品名])=XLOOKUP([@品番], M_在庫[品番], M_在庫[単位])(手入力:入庫/出庫/繰越/棚卸調整など)(手入力)(手入力)(手入力)(手入力)

M_在庫からデータを取得する項目(商品名など)は、品番を基にXLOOKUPで自動取得
※ 「区分」列はなくても自動集計可能。後から分析しやすいよう、各イベントを分類するための列。

データの最初の行には期首在庫数(繰越残高)を記入しておきます。

入出庫履歴テーブルを作成する
STEP3

現在庫数(集計値)を在庫一覧表に反映する

在庫一覧表(M_在庫の中の 現在庫数 列に、数式を記入して自動計算されるようにします。入出庫履歴(T_入出庫から、SUMIFS関数を使って現在庫数を集計して M_在庫 に反映する仕組みです。

M_在庫現在庫数列に下記の数式を記入します(構造化参照の式を使用)

【テーブル名:M_在庫

現在庫数発注点状態
=SUMIFS(T_入出庫[増加数], T_入出庫[品番], [@品番]) -SUMIFS(T_入出庫[減少数], T_入出庫[品番], [@品番])(手入力)=IF([@現在庫数]<=[@発注点], "要発注", "充足")

※ 「状態」列は、「現在庫数」と「発注点」から自動記入するように設定。

現在庫数(集計値)を在庫一覧表に反映する

【「現在庫数」の計算式の意味】

現在庫数 = 増加数合計(期首在庫を含む) - 減少数合計

※ 期首在庫(繰越残高)T_入出庫の初めの行に入っているため、SUMIFSの計算範囲の中に含まれている

T_入出庫 に新しいデータを追記するたびに、M_在庫 側の 現在庫数 が自動で更新されます。

吉峰
吉峰

在庫一覧表と入出庫履歴は、データベース設計では「マスタテーブルと「トランザクションテーブルにそれぞれ相当します。この2つを分離することで、データの再利用性が高まり、集計・分析もしやすくなります。

デザイン|見やすさと操作ミス防止を両立する設定

自動集計の仕組みを作ったら、「見やすさ」と「操作ミスの防止」を高める設定を追加します。具体的なテクニックは下記の3つです。

  • 条件付き書式で在庫切れを自動アラート
  • データの入力規則で入力を効率化
 

条件付き書式:在庫切れを自動アラート

条件付き書式 は、現在庫数が発注点(最低在庫数)を下回ったとき、セルを自動的に赤色にする設定です。視覚的にすぐ気づけるため、 発注漏れの防止に効果的です。

下記は充足 / 要発注 のどちらかが表示される状態列(数式は前述が存在する前提での設定になります。

【設定例】

  • 選択セルM_在庫状態
  • 条件付き書式のルール
    • セルの強調表示ルール > 指定の値に等しい > 「 要発注と記入
    • または 新しいルール > セルの値 次の値に等しい を指定し「 要発注と記入
条件付き書式で在庫切れを自動アラート
 

データの入力規則:プルダウンで入力効率化

データの入力規則 は、手入力によるミス(表記ゆれや誤字)を防げる機能です。品番や商品名の入力欄に プルダウン(ドロップダウンリスト) を設定できます。

データの入力規則で入力を効率化

【設定例】

品番のドロップダウンリストの設定
  • 選択セルT_入出庫区分
  • 入力値の種類リスト
  • 元の値入庫, 出庫, 繰越, 棚卸調整, 返品, 廃棄, 損失
区分列のドロップダウンリストの設定

運用|運用破綻を防ぐためのルール

どれほど優れたExcel管理表を作っても、運用ルールが徹底されなければ在庫ズレは防げませんここでは、現場全体で共有すべき「入力タイミングの固定」と「定期的な棚卸し」の2つのルールを解説します。

 

ルール1. 入力タイミングの固定

入出庫があったら「その場ですぐ」または「終業前」必ず必ず データ入力する、というように入力タイミングを固定することをルール化するのは重要です。「まとめて後で入力する」という運用は、 入力漏れや記憶違いによるミスの温床 となります。入出庫と入力はセットで行うという意識を現場全体に根付かせることが重要です。

 

ルール2. 定期的な棚卸し

「帳簿上の現在庫数」と「実際の在庫(実在庫)を定期的に照合する、定期的な棚卸し作業は重要です。

どれだけルールを徹底しても、長期間放置すれば誤差は蓄積します。月次または四半期ごとに棚卸しを実施し、数字のズレをリセットする習慣が、 正確な在庫管理の土台 となります。

限界|Excelから専用システムへ移行する判断基準

Excelには限界があり、 運用していくうちに必ず「データ量」「同時編集」「ヒューマンエラー」という3つの壁に直面 します。無理にExcelを使い続けると、かえって業務効率を下げ、重大なミスを招く恐れがあります。

ここではExcelの3つの限界と、専用システムへの移行を検討すべき具体的なタイミングについて解説します。

 

Excelの3つの限界

  • 1. データ量
    商品数が100〜500種類を超えたり、数年分の履歴が蓄積されたりすると、ファイルの動作が極端に重くなります。
    Excelの実用的な限界は約10万行 と言われています。

  • 2. 同時編集
    Excelは原則として 「1ファイル1人作業」が前提 です。
    複数拠点やチームでのリアルタイム共有・同時更新には向いていません。

  • 3. ヒューマンエラー
    手入力が基本のため、 入力ミスや数式の上書き破損が起こりやすい 構造です。
    帳簿上の数字と実在庫が一致しない「在庫ズレ」が常態化しやすくなります。

その他のExcelの限界や詳細については、下記にまとめました。

 

移行を検討すべき「4つのタイミング」

以下の状況に1つでも当てはまるなら、 専用システムへの移行を具体的に検討するタイミング です。

  • 管理品目数 : 取り扱う商品が150点以上になった
  • 作業時間 : 在庫管理に関する作業が週20時間を超えている
  • 棚卸しの負担 : 月次の棚卸し作業に2日以上かかっている
  • 拠点の分散 : 店舗と倉庫など、複数拠点間でのリアルタイムな在庫共有が必要になった

まとめ|まずはExcelでの自作から始めよう

この記事では、次のことについて解説しました。

  • 在庫管理表の多くは「一覧型」「単票型」「移動表型」の3つのいずれかに該当する。
  • マスタ+入出庫履歴の分離構造にすると 簡単に自動集計システム が作れる。

Excelは「最初の一歩」として最適なツールです。運用が追いつかなくなってきた段階で、専用の在庫管理システムへの移行を視野に入れておきましょう。

当サイトでは、この他にもExcel業務に役立つレシピも紹介しています。

» 業務特化レシピ集|業務で使えるExcelツールの作成方法