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ExcelをWebデータベース化!クラウドデータベース比較と選び方【社内DB】

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  • 「 Excel で管理している台帳を、複数人で安全に同時編集できる仕組みに切り替えたい」
  • Webデータベースクラウドデータベース といったサービスがあるらしいが、違いがよくわからない」

Excel(エクセル)からWeb・クラウドデータベースへ移行すると、 同時編集時のデータ消失リスクやファイル散乱の問題を解消 できます。

本記事では、Webデータベースとクラウドデータベースの違い、サービス形態( SaaSDBaaS ・オンプレミス)の選び方、主要製品の機能紹介をします。

本記事の対象スコープ

本記事はデータベースの中でも「クラウド/Web」に限定したツールについての記事です。データベースソフト全般(DBMS)の比較についてはコチラをご覧ください。

基礎知識|Webデータベースとクラウドデータベースの違い

 

ブラウザ使用の「Webデータベース」とクラウドサーバの「クラウドデータベース」

「Webデータベース」と「クラウドデータベース」は、似ているようで定義が異なります。

  • Webデータベース :フロントエンド(ユーザーの操作画面)Webブラウザ を使用するデータベース。データの入力・閲覧・編集をすべてブラウザ上で行う形式。
  • クラウドデータベース :バックエンド(データの保管場所)クラウドサーバー を使用するデータベース。自社サーバーではなく、外部のクラウド環境にデータを保持する形式。

両者は別の観点からの分類のため、「Webブラウザで操作でき、かつデータはクラウド上に保管される」サービスは、Webデータベースとクラウドデータベースのどちらにも該当します。

 

サービス形態における3つのパターン:SaaS・DBaaS/PaaS・オンプレミス

Web・クラウドデータベース(DB)のサービス形態は、大きく3つのパターンに分かれます。

パターンクラウド・IT製品分類呼称フロントエンド(UI)バックエンド(インフラ・DB)開発・保守の対象
A: クラウド型WebDBSaaSWebデータベース / クラウドデータベースベンダー提供のWebブラウザ画面(ノーコード)ベンダー管理のクラウド(SaaS)画面上の設定のみ(インフラ保守不要)
B: 純粋クラウドDBDBaaS/PaaSクラウドデータベース別途用意クラウドベンダーのマネージドDBAPI/SQL経由のデータ接続・インフラ設計
C: オンプレ型WebDBオンプレミスWebデータベース社内限定のWebブラウザ画面(VPN等必須)自社所有の物理サーバー/LAN内DB画面設定 + 自社での物理サーバー保守
吉峰
吉峰

非エンジニアがExcelから移行する場合は、 パターンA(SaaS型のクラウド型WebDB) (「ノーコード/ローコード業務アプリ」と呼ばれることも多い)を選ぶのが基本です。理由は次のセクションで説明します。

 

SaaS型推奨の理由:UIとデータ保持・自動化/ワークフローが直結

SaaS型を推奨する理由は、「操作画面」「データ保管」「自動処理」がすべて1つのサービスに統合されているためです。

AWS (Amazon RDS等)Google Cloud (Cloud SQL等)などの DBaaS/PaaS は、データの保管と SQLによる問い合わせ処理のみを提供します。データの入力画面、通知機能、ワークフロー機能は含まれていないため、それらを実現するには別途プログラムやフロントエンド環境の開発が必要です。 専門知識や開発コスト (外注する場合には予算)が発生します。

一方、 SaaS型Webデータベース には以下の3つの特徴があります。

  • 画面(UI)と処理システムが一体化 :データの格納スペース(データベースエンジン)と、データを入力・表示するUI(操作画面)が、最初から同一のシステムとして設計されている。
  • ノーコードでデータ処理を自動化可能 :データの追加・更新・削除をトリガーとして、設定したルールに基づき「他テーブルのデータを一括更新する」「関連レコードの数値を自動集計する」といったデータ連動処理を、SQLやJavaScriptなどのプログラミング言語を使わず 画面上の設定だけで実行 できる。Excelの関数やマクロ/VBAに近い処理を再現できる。
  • ワークフローの構築機能を標準搭載 :データ登録時に「金額」や「組織」などの条件に応じて、指定されたユーザーや役職者へ自動的に承認要求を通知し、ステータス(未申請・承認中・決裁など)を遷移させる機能が標準搭載されている。 Power Automate・Teams・Outlook等の組み合わせに近いシステム を構築できる。

Web・クラウドDBの必要性|Excel/クラウド表計算ソフトの限界

「単にファイルを複数人で同時編集・共有したい」だけであれば、 クラウド表計算ソフト で解決できます。

主なサービスは以下の通りです。

  • Excel for the web(OneDrive/SharePoint経由) :既存の .xlsx ファイルの関数やレイアウトを維持したまま、複数人がブラウザ上で同じセルをリアルタイムに同時編集できる。ただし、マクロ(VBA)は動作せず、Officeスクリプト(TypeScript)への移行が必要。
  • Googleスプレッドシート :Googleドライブ上で動作するクラウドネイティブな表計算。同時編集の同期速度が高速で、複数人のカーソル位置がリアルタイムに表示される。Excel関数とは一部互換性がない仕様(QUERY関数やIMPORTRANGE関数など独自関数)がある。

ただし、クラウド表計算ソフトには「データベースとしての要件」を満たせず、データの蓄積を行う上での限界があります。以下の表の 課題に該当する場合は、クラウド表計算でなく専用のWebデータベース推奨です。

発生する課題・限界クラウド表計算(Excel for the web/スプレッドシート)専用Webデータベース(SaaS型)
データ入力の制限ユーザーが任意のセルに異なるデータ型(文字列・数値)や空白を自由に入力できてしまう(表記揺れ・エラーの発生)入力フォームによるバリデーション(型チェック、必須入力、選択肢強制)が作動する。
アクセス権限の細分化行単位・列(カラム)単位での「Aさんには見せるがBさんには隠す」といった制御が原則不可。ユーザーの所属や役職に応じて、レコード単位・フィールド単位での閲覧・編集権限を定義可能。
データ肥大化への耐性レコード数が数万〜数十万件に達すると、ブラウザのメモリ消費量が増大し、動作遅延やクラッシュが発生する。バックエンドのDBエンジン(RDB等)でデータを保持するため、 数百万件でも高速な検索・フィルタリングが可能
データの管理単位ファイル単位 (手軽に複製・別名保存ができてしまう)システム(データベース)単位 (データを入れる「箱」は常に1つだけ)
データの散乱リスク非常に高い (「〇〇修正版」「最新版」のファイルが乱立しやすい)極めて低い (ユーザーが勝手にデータソースを複製できない)
変更の記録方法セル単位の変更履歴のみ(ファイルが分かれると追跡不能になる)レコード単位のバージョン・更新履歴(常に同一データ内で履歴を管理)

選定基準|Web・クラウドデータベースの選び方

Web・クラウドデータベースを選ぶ際は、 「現場の使いやすさ(Excel互換)「コスト(ライセンス体系)「将来性(システム連携・拡張性) の3つの軸で、自社の業務規模に合ったサービスを絞り込むことで失敗が少なくなります。

 

選定ポイント1:既存のExcel資産・操作性をどこまで活かせるか

既存の業務フローやユーザーの慣れをどの程度維持したいかによって、重視すべき項目が変わります。現場のユーザーがスムーズに移行できるよう、「これまでの業務フローを可能な限り崩さずにするための機能」をチェックします。

  • UI/UXの継続性(現場の定着) :現場のユーザーがWeb画面への入力に抵抗感を持つ場合には、Excelをそのまま入力インターフェースとして使い続けられる「活Excel」機能(楽々Webデータベースなど)が役立つ。
  • ワンクリックでのアプリ化 :Excelからの移行時初期に時間短縮したい場合は、Excelファイルを読み込むだけで、項目の型定義やフォームを自動生成できる機能があると便利。
  • 計算式や関数の互換性 :Excelで組んでいる数式での使用関数を、サービス側でもそのまま利用できれば、移行後も簡単に同様の処理が可能。
 

選定ポイント2:同時アクセス数はどれだけか(ライセンス体系)

コストパフォーマンスと業務効率を両立させるには、利用実態に合わせたライセンス体系の選択が重要です。

  • 同時ログインライセンスの検討 :「登録ユーザー数は多いが、特定の時間帯しか使わない」という場合、同時接続数で課金されるプラン(PigeonCloud、JUST.DBなど)を選ぶことで、 1ユーザー単位の課金よりもコストを大幅に抑えられる
  • ユーザー権限の細分化 :全員がアクセスする環境では、役割に応じて「閲覧のみ」「自部署のデータのみ編集」といった詳細なアクセス権限を設定できるかが、セキュリティ上重要となる。
 

選定ポイント3:外部システム連携・拡張性をどこまで求めるか

単なるデータ保管に留まらず、業務全体を自動化・効率化したい場合には、他のシステムと連携できるか、機能や制限を拡張できるかも注目すべき項目です。

  • エコシステムの広さ(プラグイン・API) :サードパーティ製ツールによる拡張性が十分にあれば、自社仕様へのカスタマイズが可能になる( kintone は200種類以上の外部サービス連携や豊富なプラグインあり)
  • 複雑な処理の自動化(ノーコード開発機能) :データの編集・移動・統合などの処理を自動化したい場合は、パーツの組み合わせだけでRPAのような動作を行える機能があると便利( JUST.DB はデータ処理パーツなどの自動化機能あり)
  • データ量の拡張限界 :数百万件規模・テラバイト級のデータを扱う場合は、DBaaS/PaaSへの移行や併用が必要になる(一般的なSaaS型Webデータベースは1アプリあたり10万件〜100万件が目安)
  • AIによる開発支援・活用AI による構築支援や連携機能に対応しているツールであれば、自然言語によるシステム構築や、蓄積したデータの分析・予測ができる。

製品比較|主要なSaaS型Web・クラウドデータベースの性能

Excelからの移行先として特に選ばれやすいSaaS型Webデータベースですが、製品ごとに強みやコストパフォーマンスの傾向が大きく異なります。ここでは、導入後のミスマッチを防ぐために、国内で高い実績を持つ主要4製品のスペックを一覧表で比較し、用途別に推奨ツールを紹介します。

 

比較表:主要製品の料金・機能スペック

各製品の基本スペックと料金体系、およびExcel移行時に重要となる自動化・インポート機能の対応状況は以下の通りです。自社の予算規模や必要とする自動化レベルと照らし合わせてみてください。

製品名提供ベンダー主な課金体系標準のワークフロー機能複雑なデータ自動処理(ノーコード)Excelファイルのインポート
kintoneサイボウズ株式会社ID課金(月額/1ユーザー)直線的なプロセス管理(条件分岐は要プラグイン)1件ずつのアプリアクション(一括処理は要プラグイン)CSV/Excel(.xlsx対応
楽々Webデータベース住友電工情報システム株式会社利用規模に応じた定額 / ID課金承認・決裁フロー、経路の自動選択に対応Excel関数のWeb再現Excel(.xlsxから直接アプリ自動生成
PigeonCloud株式会社ロフタルID課金 または 同時ログイン数課金ステータス管理・アラート通知ルックアップ・数式による自動計算CSV/Excel(.xlsx対応
JUST.DB株式会社ジャストシステム同時ログイン数課金(基本料金+同時接続枠)条件分岐・並行承認を含むワークフローエンジン標準搭載複数テーブル間の一括自動処理(データフロー機能)標準搭載
 

クイック選択:目的・課題別の推奨ツール

それぞれの状況に照らし合わせ、導入する目的や解決したい課題に応じて、以下を目安にツール選定をしてみてください。

  • 「プラグイン等を使って幅広く業務改善したい」kintone (豊富な外部プラグインとAPIによる圧倒的な拡張性)
  • 「画面や関数を今のExcelから変えたくない」楽々Webデータベース (Excelファイルを読み込ませるだけで即座にWeb化できる機能)
  • 「大量のデータを大人数で安く共有したい」PigeonCloud (コストを抑えられる「同時ログイン数課金」と大容量対応)
  • 「マクロ並みの自動処理や複雑な承認を組みたい」JUST.DB (標準機能だけで完結する高度なデータフローとワークフロー)

製品詳細|主要なSaaS型Web・クラウドデータベースの特徴

各ツールごとに、具体的な特徴や強み・独自のメリットなどを解説します。

 

1. kintone:圧倒的なシェアと高い拡張性

  • 特徴・強み
    • シェア・実績 :導入社数30,000社以上の実績があり、SaaS型Webデータベースの中で非常に普及している製品。
    • 機能とターゲット :200種類以上の外部サービス連携と豊富なプラグインが強み。ExcelやCSVを読み込んでWebデータベース化する機能も備えている。
  • 料金体系 :ライトコース(月額1,000円/人)とスタンダードコース(月額1,800円/人)の2プラン。
 

2. 楽々Webデータベース:ExcelファイルをそのままWeb化

  • 特徴・強み
    • 「活Excel」と現場定着 :「活Excel」を最大の特徴としている。既存のExcelファイルをワンクリック(数秒〜90秒程度)でWebアプリ化できる。
    • 運用の継続性 :データの入力も従来通りExcelで行えるため、「業務ルール変更を現場に言い難い」場合の反発を抑えやすい。Excelの見た目や運用を変えずに導入できる。
  • 料金体系 :クラウド版スタンダードプランは1ユーザー月額1,500円で、10ユーザー以上から契約可能。
 

3. PigeonCloud:同時ログイン課金と大容量ストレージ

  • 特徴・強み
    • データ容量・制限 :標準で100GBの大容量ストレージを搭載。
  • 料金体系 :ユーザー数プラン(月額1,100円/人〜、最低5名)に加え、「同時ログイン数プラン」(月額2,200円/人〜)を用意している。「在籍は多いが同時に使う人数は少ない」現場でのコストパフォーマンスが高い。
 

4. JUST.DB:高度なデータ処理とワークフローの自動化

  • 特徴・強み
    • 自動化とワークフロー :標準機能のパーツを組み合わせるだけで、データの編集・移動・複製・統合などの処理を自動化できる。複雑な承認・決裁のワークフローもマウス操作で構築可能。プラグインやオプション契約なしで高度な自動処理を実現できる点が特徴。
  • 料金体系 :登録ユーザー数ではなく同時ログインユーザー数で決まる料金体系を採用している。

移行手順|ExcelからWebデータベースへの移行7ステップ

ExcelからWebデータベースへの移行は、以下の7ステップで進めます。

STEP1

導入目的の明確化と業務の洗い出し最初に「何を解決したいのか」を明確にし、現状の業務フローを分析します。

  • 優先順位の設定 :部署を横断する業務や、情報の蓄積が将来的に価値を生む業務など、移行によるメリットが大きい業務から着手する。
  • 「脱Excel」か「活Excel」かの判断 :業務ルールを大きく変えずにExcelを使い続けるのか(活Excel)完全にWeb化するのか(脱Excel)の方針を決める。
STEP2

現在および将来のデータ量の把握適切なサービスを選ぶために、扱うデータの規模を正確に見積もります。

  • 現在のストレージ使用量と将来的な増加量を分析する。
  • 1アプリあたりのレコード件数上限は製品ごとに異なるため、将来の増加分も含めた見通しが必要。
STEP3

クラウドデータベースサービスの選定自社の要件に合うサービスを比較検討します。

  • 比較ポイント :保存可能なデータ種別、スマートフォン対応、分析・レポート機能の有無、他社サービス(API)連携の可否、コスト体系を確認する。
  • PoC(概念実証)の実施 :無料トライアルを活用し、実際のデータを用いて性能や使いやすさを検証することを推奨する。
STEP4

データ移行計画の策定移行作業に伴うリスクを最小限にするための計画を立てます。

  • 移行対象の決定 :クラウドへ移行するデータとしないデータ(個人情報保護などの観点から)を切り分ける。
  • スケジュールの策定 :作業手順と優先順位を設定する。
STEP5

サービス導入とデータ移行の実施策定した計画に基づき、データのインポートを実行します。

  • スモールスタートの推奨 :いきなり全社展開するのではなく、まずは一部署・1業務から試す。 大きな失敗を避けやすくなる
STEP6

セキュリティ設定と整合性の確認移行したデータの安全性と正確性を検証します。

  • データの検証 :移行前と後でデータの欠損や不整合がないか、システムの動作に問題がないかをチェックする。
  • 権限の移行 :既存のセキュリティポリシーを維持し、アクセス権限や暗号化設定を適切に適用する。
STEP7

保守・管理体制の構築導入後、継続的に運用できる体制を整えます。

  • 担当者のアサイン :設定の最適化やトラブル対応を行うクラウドに詳しい担当者を立てる。
  • 定期的なテスト :バックアップが確実にとれているか、復元(リストア)がスムーズに行えるかを定期的に確認する。

まとめ|業務に合わせた最適なツール選定で「脱・活Excel」

本記事の要点は下記の通りです。

  • 画面操作と自動化が一体化した「SaaS型」を選ぶと、非エンジニアでも手軽に導入・運用できる。
  • 既存Excelの操作性を維持するか、同時ログイン課金でコストを抑えるか、外部API連携で拡張するか。この3つが製品選定の基準となる。

製品選定を誤った場合、

  • 業務プロセスの再現不可による運用の頓挫
  • 過剰スペックによる無駄なコスト発生

が発生します。これを避けるために各環境ごとに適したツール選択が重要です。

各々の要件に適合する詳細仕様(料金プラン・各種制限値・自動化の拡張性)を確認するには、各製品の公式サイト・資料のチェックが不可欠です。無料トライアルが用意されている製品も多いため、公式の最新情報を確認してみてください。