はじめに
- 「仕事でExcelを使用しているが、繰り返し作業が多く 非効率 に感じる」
- 「蓄積されたデータが活用しきれていないが、もっと効率的な方法はないか」
- 「VBAやPythonを使えば良さそうだが、難しそうだし、周りに嫌がられるのでは」
そんな不満やモヤモヤを業務で感じていませんか?
実は、VBAなしでもテーブル × Power Query を使うだけで、転記・集約・整形作業を自動化できます。
【エクセル機能と関連技術まとめ】 (詳細は後ほど)
| 手法 | 効果 | 難易度 |
|---|---|---|
| ショートカット / 関数 | 個人作業のスピードアップ | ★ |
| テーブル | データ整理・参照の安定化 | |
| 入力規則 / 条件付き書式 | 入力ミス防止 | ★★ |
| Power Query | データ連携、集約、整形を自動化 | ★★★ |
| VBA | 複雑な処理の自動化(応用) | ★★★★ |
| Access / Python | 大規模な自動化・分析(応用) |

私は長年Excelを使ってきましたが、この便利な機能(Power Query)の存在をずっと知りませんでした。 「もっと早く知っていれば、もっと楽に仕事ができたのに…」 と、今になって思います。
この記事では、Excel業務で無駄が発生する原因、「テーブル」と「Power Query」の具体的な使い方、さらに属人化を防ぐコツまで解説します。
結論はシンプルです。
「Excelで業務効率化」とは?
一言でいえば
繰り返しの手作業を減らしたり、作業自体を自動化・仕組み化 し、
最終的にムダをなくして、仕事の流れ(ワークフロー)を改善することを目指します。
手作業や判断に迷う回数が減ることで、
作業時間が短縮 されるだけでなく、 ミスや人によるバラツキが少なくなり 、結果の精度(正確性・再現性)が向上します。
誰がいつやっても安定した結果が得られるようになるのが大きなメリットです。
Excelのメリット:なぜ今、Excelなのか?
最近はRPA、AI、クラウドサービス(SaaS)など多くのツールが登場していますが、
Excelを改善ツールとして利用するメリットには以下があります。
- ① 環境構築が不要( コストゼロですぐに始められる )
- ② 多くの人が使い方に慣れている
- ③ できることの範囲が広い
- ④ 既存の蓄積を活かしやすい
① 環境構築が不要(コストゼロで始められる)
ほとんどの企業のPCには、Excelが標準でインストールされているはずです。
自分一人のみの スモールスタート が可能で、
周りとの調整や申請手続き、慎重な検討は必要ありません。
「問題点」を見つけ「改善案」を試すPDCAを素早く回せます。

必要な機能を後から付け加える場合にも、追加の費用無しに対応でき、細かく調整できることも利点です。
② 多くの人が使い方に慣れている
入力方法やカーソルの動かし方など、
全く新しいツールを導入し、他の人に使ってもらう場合には、
使い方を覚えてもらうための 教育コストが発生 するとともに、
導入時に 心理的な抵抗感 を生んでしまう懸念もあります。
③ できることの範囲が広い
Excelは表計算ツールとして優れているだけでなく、
特にVBAを使えば、できることの幅がさらに広がります。
「あと少しだけ便利にしたい」という場合にVBAを取り入れ、
日々のストレスを減らすことも可能です。

この柔軟性は、逆に「属人化・ブラックボックス化」を生む原因ともなり得ますが、 対策も工夫次第で可能になります(後述)。
④ 過去のファイルやデータをそのまま活用しやすい
Excelを業務改善ツールとして利用すれば、
- これまでの業務フローをそのまま活かし、 問題のある部分だけを置き換えて試す ことが簡単
- これまでに作成されたExcelファイル(見積書、請求書、台帳テンプレートなど)をすぐに活用できる
という利点があります。

今なお、Excelは 業務の中で最も広く使われているツール です。 特に中小企業や、大企業であっても部署内などでは、 Excelが業務の中心になっていることも少なくありません。
今までに構築してきた仕組みやデータをすぐに活用でき、
別のシステムに切り替えるためのコストがほとんどかからないという点で、
業務効率化の第一歩としてExcelを使うのが最も現実的と言えます。
Excelのデメリット:限界と注意点
Excelは万能のツールではなく、

ただし「やはりExcelでは難しいな」と判断するために、とりあえず時間をかけすぎない程度に試してみるのは有効です。
以下のようなデメリットがあることを念頭に置いておきましょう。
- ① データ量が増えるとファイルが重くなる
- ② 複数人での同時編集やリアルタイム編集に弱い
- ③ 高いセキュリティ要件が求められる業務には不向き
① データ量が増えるとファイルが重くなる
Excelは数万件以上の 大規模データを扱うのが苦手 です。
- フリーズしやすくなる
- 計算処理が遅くなる
- 保存に時間がかかる
- 保存ができない(100万行以上のとき)
といった問題が顕著になります。
対策: ブックを分割し、Power Queryで必要なデータだけを結合・抽出して使用する
② 複数人での同時編集やリアルタイム編集に弱い
Excelはもともと 複数人での同時編集よりも、個人で完結するように作られたツール です。
Web版を使用するか、Accessなどのデータベースを併用することで、
改善策:
- Web版Excel(OneDrive / SharePoint)で共同編集
- 参照はExcelで行い、データ登録はフォームやAccessで行う

改善策を講じたとしても、Googleスプレッドシートほどリアルタイムでの同期編集は得意ではありません。
③ 高いセキュリティ要件が求められる業務には不向き
Excelはデータがファイルとして保存されるため、
判断ポイント:
- データへのアクセス権限を細かく制御する必要がある
- 自動バックアップが必須である
- 社外との共有が多い

上記の判断ポイントに該当する場合は、 専用ツールやクラウドサービスを併用するのが安全です。
想定環境
ここでは、一般的な日本企業の環境を想定しています。
- Windows 10/11
- Excel(2016 以降 / Microsoft 365)が利用可能
- 共有フォルダ(NAS / ファイルサーバー / クラウドストレージ)が利用可能
Excelは、Power Queryが使えることを前提として話をします。

ただし、2010や2013用のアドイン自体はアップデートを終了しています。
効率化方法:無駄を解消するには2つの改善
業務の無駄の多くは、
ポイントは「探す」「コピペ・転記」の削減
普段の業務で、次のような経験をしたことはないでしょうか?
データ探しに関して…
- 目的のファイルの場所がわからず、「あちこちのファイルを開いて中身を確認」を何度も繰り返した。
- 似たような名前のファイルが並び、どれが 最新版 かわからず困った。
コピペ・転記に関して…
- 複数ファイルのデータをまとめるために、ひたすらコピペを繰り返して時間がかかった。
- 最新ではない古いデータをコピーして使用してしまった。
- データを修正したが、そのデータを使っている他の複数のファイルも修正し直す羽目になった。
このような
- 欲しい情報がすぐに取得でき、
- 加工・集計・分析を短時間で正確に行え、
- ミスが減る。
- 意思決定が速くなり、PDCAを高速に回せる。
という効果が得られ、データを活用した、全体的な業務の効率化につながります。
VBAなしで改善できる
「探す」手間と「コピペ・転記」する手間の削減は、 VBAなしでも実現できます 。
- データを一括集計してリスト化できる
→ 「探す」手間を削減 - データの転記を自動化できる
→ 「コピペ・転記」の手間を削減 (参照元のデータを「探す」手間も削減)

ただし、ファイル自体の操作はできないため、 「リストに記載されたすべてのファイルを操作し、これらすべてに一括でデータを記入する」 といった、完全な自動化ができない部分もあります。 その場合は、VBAを併用することになりますが、 VBAに頼る部分を大幅に減らせます。
テーブル × Power Queryによる効率化
業務効率化の鍵は、手作業を減らし、データ間の連携を自動化することです。
全体イメージ:テーブル × Power Query
業務効率化は、
- データ置場: テーブル ※
- データの配送・加工担当: Power Query
この組み合わせにより、

※ データを保管する場所(データソース)は、 テーブル以外にも「フォルダ内のファイル」や「Accessのデータベース」など、 さまざまなものに置き換えられますが、まずはテーブルの使用を基本とします。
典型的な自動化の例:
-
ボタン1つで別シートや別ブックへの データ転記
-
特定の フォルダ内にある最新のデータ (CSVファイルやExcelファイル)を自動で取り込み、集計・整形
テーブル機能とは
テーブル機能(旧称:リスト機能)とは、
効率化につながる理由
- データの構造化と参照の安定化:
- 通常のセル範囲と異なり、 テーブル名 (例: 顧客データ_Table)と 列名 (例: [顧客ID])でデータを参照できます。
これにより、行や列の挿入・削除があっても関数やPower Query側の設定が壊れにくく、参照が安定します。 - Power Queryがデータを扱う上で、この構造化された形式が必須要件となります。
- 通常のセル範囲と異なり、 テーブル名 (例: 顧客データ_Table)と 列名 (例: [顧客ID])でデータを参照できます。
- 拡張性(行の自動拡張):
- テーブルの最終行に新しいデータを入力すると、 自動的にテーブルの範囲が拡張 されます。
- この自動拡張のおかげで、関数やグラフ、Power Queryの 参照範囲をデータ追加のたびに手動で変更する必要がなくなります 。
Power Query とは
Power Query(パワークエリ)は、
できること(集約・加工・転記の自動化)
Power Queryは、指定したデータソース
- 集約: 複数ファイルや複数シートのデータを 縦に結合 (アペンド)し、1つの大きなデータセットにまとめます。
- 整形(ETL: 抽出・変換・読み込み):
- 不要な行・列の削除
- データの型変換(文字列を日付や数値にするなど)
- 列の分割、行と列の入れ替え(ピボット解除)
- 空白セルやエラー値の処理
- 結合(リレーション): 複数のテーブルを特定のキー(例: 顧客ID)で 横に結合 (マージ)し、VLOOKUP関数やXLOOKUP関数で行っていた参照作業を自動化します。
- 転記の自動化: これらの処理を終えた結果を、ボタン1つで別のExcelシート上のテーブルに書き出します。

VBAのようなコード記述は不要で、マウス操作だけで複雑な処理を自動化できるため、 属人化を防ぎやすく、費用対効果最強の効率化機能と言えます。
データベース運用にも使える5つの代表操作
テーブルとPower Queryに関連する 5つの操作 を押さえておくと、
データベースシステムの構築と運用も可能です。
| 操作 | 種別 | 目的・できること | 使用する主なExcel機能 |
|---|---|---|---|
| I. テーブルの作成 | 基本 | データの 格納場所 を明確にし、 Power Queryなどから参照しやすく する。 | テーブル の作成 |
| II. テーブルの参照 | 外部ブックの最新データを 自動で取り込む(転記の自動化) 。 | Power Query (データの取得) | |
| III. テーブルへのルール付け | 応用 | データ入力時の 効率と質を向上 させる(入力値の制限、候補表示、ミスの強調)。 | 入力規則 、 条件付き書式 |
| IV. テーブルの結合(横) | 複数テーブルを 横に結合 し、関連データを自動で挿入(リレーショナルDB的な活用)。 | Power Query (クエリのマージ) | |
| V. テーブルの結合(縦) | 同じ形式の複数ファイルを 縦に結合 し、リスト(一覧)を作成する。 | Power Query (フォルダーから取得) |
効率化の具体例
テーブルとPower Queryを組み合わせた効率化システムは、幅広い業務で応用できます。
- 書類管理台帳・ファイルデータベース:
- 【課題】書類ファイル(ExcelやPDF)がバラバラに散らばっている。
- 【解決】管理台帳をテーブル化し、Power Queryでファイルを一元集約。 ファイルパス や 更新日 なども自動取得し、検索可能な一覧を作成する。
- 在庫管理システム:
- 【課題】1つの表で物品情報と入出庫データを管理しているが、物品の最新情報を維持しつつ、入出庫記録を集計するのが手間。
- 【解決】物品情報と入出庫記録は別々に記録し、Power Queryで紐づけることで情報更新が簡単になる。
入出庫記録の集計もリアルタイムに近い 現時点の在庫数 を自動計算して表示可能。
- 定型書類(請求書・見積書など):
- 【課題】記入項目の数だけコピペを繰り返して書類を作成している。書類リスト作成時もコピペしている。
- 【解決】書類リストに必要な項目をまとめて記載しておき、Power Queryでテンプレート側で一括参照する。書類リスト作成の手間も減る。
- 顧客管理データベース:
- 【課題】最新情報が反映された顧客リストがあるが、毎回開いてチェックするのが手間で、あまり活用されていない。
- 【解決】顧客情報を参照するファイル側で、Power Queryによるデータ取得を行えるようにすることで、ボタン1つで最新情報が反映されるようにする。
さらなる効率化・自動化・高度化のステップ
Excelによる業務効率化は、
- 効率化の規模: まずは個人の作業の効率化を優先し、1シート規模から試す。
- 使用機能: Power Queryなど、学習コストの低い機能から使ってみる。
- 注意点: ツール作成に時間をかけすぎない。完璧主義にならない。

徐々に置き換え、広げていくのがオススメです。 効率化の規模、使用機能を拡大し、ステップアップしていく際のロードマップを参考にしてください。
効率化の規模ロードマップ
効率化を進めるにあたっては、
- 「影響範囲の拡大」
- 「利用者範囲の拡大」
という二つの方向性を意識することで、
拡張軸1:影響範囲(カバーするデータやファイルの範囲)
| 範囲 | 概要 | 主な対応機能 |
|---|---|---|
| 小 | 1シート内 で完結するタスク | 関数、テーブル、入力規則 |
| 中 | 複数シート や 複数ブック 間の連携タスク | テーブル 、 Power Query (ブック内/ブック間参照) |
| 大 | 複数のフォルダ に散在する 多数のファイル の集約・分析 | Power Query (フォルダからの取得)、 Access 、 Python |
拡張軸2:利用者範囲(誰が使うか)
| 範囲 | 概要 | 考慮すべき点 |
|---|---|---|
| 個人 | 自分が使うファイルのみ | 自由にカスタマイズが可能 |
| 複数人 | 部署やチーム内で共有 | 入力ルールの統一、ファイルパスの固定化、属人化対策(次章参照) |
| 組織 | 全社的な共通基盤として運用 | セキュリティ、ガバナンス、 専用システムへの移行検討 |
使用機能ロードマップ
Excelとそれに関連する機能・ツールの使用難易度と効果を考慮したロードマップです。

「Power Query」は、 特に 費用対効果が高く 、組織内での属人性が低い仕組みを構築しやすいため、 次のステップとして最も優先して習得することをおすすめします。
| 難易度 | 手法 | 効果 | 特徴と位置づけ |
|---|---|---|---|
| 低 | ショートカット / 関数 | 個人作業スピード向上 | 土台。すべての作業の基本。 |
| 中 | テーブル / 入力規則 / 条件付き書式 / テンプレート | 入力ミス防止、参照安定 | データの構造化を徹底する段階。 |
| 中〜高 | Power Query | 自動転記・集約・整形 | コスパ最強。VBAを使わずに高度な自動化を実現する核となる機能。 |
| 高 | VBA・PowerShell・Access・Power Automate | 特定の機能・動作の高度自動化 | 専門性の高い応用編 。Power Queryでできない部分を補完。 |
| Python | 高度な分析・AI連携・大規模データ処理 | データ分析基盤 への進化。専門知識・追加の環境構築が必要。 |
「VBA」「PowerShell」「Python」は、
できることが幅広い一方で、
コードベースであるため属人化・ブラックボックス化(後述)しやすいという側面もあります。
これらを使って複雑な処理を組む場合には、注意が必要です。
ツール開発する上での注意点
効率化はあくまで手段であり、目的は事業の成果を出すことです。
- 完璧を求めない
- 「完成させるための最後の2割に膨大な時間を使う」とも言われます。
6〜8割できれば十分」と割り切るのも大切です。
に突き進んでも、方向性が間違っている可能性もあります。
- 「完成させるための最後の2割に膨大な時間を使う」とも言われます。
- 低頻度・低重要タスクは優先度を下げる
- 年に1回しか発生しないタスクや、全体の作業時間が数分で済むタスクは、効率化の検討対象から優先して除外しましょう。
「繰り返し発生する」「時間がかかる」「ミスが許されない」 タスクに集中的に投資する方が効果が大きいです。
- 年に1回しか発生しないタスクや、全体の作業時間が数分で済むタスクは、効率化の検討対象から優先して除外しましょう。

「時間をかけて複雑な処理を組んだが、結局使わないものだった」ということが起こりがちなので、注意が必要です。 私もそれで失敗したことがあります。
属人化・ブラックボックス化の対策
業務を効率化・自動化する際、最も懸念されるのが「属人化」と「ブラックボックス化」です。
属人化・ブラックボックス化がもたらす問題
仕組みが複雑になりすぎると、
複雑度がさらに増すと、
構築した製作者なら処理内容がわかるためメンテナンスできるが、
他の人では手に負えない状態になります。
これが「 属人化 」です。
また上記の「複雑すぎて手に負えない状態、中身が全く分からない状態」
になることを「 ブラックボックス化 (処理の非可視化)」と言います。
これらは次のような問題を引き起こします。
- 属人化 → 作成者が異動・退職すると誰も修正できなくなり、システムが使われなくなる(塩漬けになる)。
- ブラックボックス化 → データのエラーや異常が発生しても、処理のロジックがわからず、対応できなくなる。または原因究明に膨大な時間がかかる。
- メンテナンスコストの増大 → 処理内容が複雑なため、小さな仕様変更にも大きな工数がかかる。
対策として、次の3つがあります。
- 対策1. ローコード・シンプルコードを使う
- 対策2. マニュアル/ドキュメントを整備する
- 対策3. 生成AIを活用する
対策1:ローコード・シンプルコードを使う
属人化・ブラックボックス化を防ぐための大原則は、「誰でも理解できるシンプルさ」を保つことです。
- Power Queryのようなローコードツールを優先的に活用する
- Power Queryは、処理ステップがGUI(画面上の操作)上にリスト形式で記録されます。
を読む専門知識がなくても、「どのデータを」「どのように加工したか」を追いやすく、直感的に理解しやすいため、属人化・ブラックボックス化しにくいと言えます。
エラーの特定(デバッグ)がしやすく、メンテナンスの引き継ぎも容易です。
- Power Queryは、処理ステップがGUI(画面上の操作)上にリスト形式で記録されます。
- VBAを使う場合は「シンプルコード」を心がける
- VBAを使用する際は、複雑なループ処理や難解な構文を避け、コメントを詳細に残すなど、後任者がすぐに処理内容を理解できるように配慮します。
対策2:マニュアル/ドキュメント整備
作成したツールの処理・ロジックや使い方を明確に文書化することは、属人化対策の最も重要かつ基本的な方法です。
- 簡易的な方法:
- ファイル内に 「補足メモ」 シートを作成したり、セル内やPower Queryのステップに 説明コメント を残すだけでも有効です。
- ツールの作成前に、目的や処理の手順などを箇条書きしておくと、ツール作成に役立つだけでなく、保守管理用の「補足メモ」にもなるのでオススメです。
- 本格的な方法:
- 「使用者向けマニュアル」と「管理者(作成・改修者)向けドキュメント」を用意し、それぞれに必要な情報を記載します。
管理者以外が使う場合は、「どこを操作して使用するのか」を明記しておかないと、誤った操作でツールが壊れてしまう可能性もあります。
- 「使用者向けマニュアル」と「管理者(作成・改修者)向けドキュメント」を用意し、それぞれに必要な情報を記載します。
記載すべき項目
| 対象者 | 記載すべき情報 | 目的 |
|---|---|---|
| 使用者向け | ツールでできること、使い方(手順・入力項目・例)、想定トラブルと対処法 | 日常業務での迷いをなくす |
| 管理者向け | 処理内容(ロジック)、データソースの場所、バージョン履歴 | 仕組みの理解と円滑なメンテナンス |
対策3:生成AIの活用
近年話題になっているChatGPTなどの生成AIは、ドキュメント整備やコード解析の補助ツールとして活用できます。
- マニュアル作成の効率化:
作成した仕組みの概要をAIに提供することで、
ドキュメントのアウトラインや文章の自動生成 を依頼できます。 - 図や文章の自動生成も有効:
業務フロー図や手順書のたたき台作成にも利用可能です。 - コード解析・解説:
複雑なVBAコードや、Power Queryで生成されるM言語のコードをAIに貼り付け、
処理内容の解説や、エラーの修正案(デバッグ案)を生成 させることもできます。
他の人が作成した、ブラックボックス化してしまったツールは、AIの助けを借りることで解析を効率よく進められるはずです。

ただし、社内の機密情報や個人情報をAIに入力することは、 情報流出や社内規定違反のリスクがあるため、 必ず利用ポリシーを確認してから活用するようにしましょう。
他サービス併用・乗り換え
テーブルとPower Queryを中心としたExcelによる効率化は強力ですが、
導入検討の目安
他のサービスやツールを検討すべき目安は、
| 観点 | 課題の具体例 | 検討すべきサービス |
|---|---|---|
| データ規模 | 処理対象データが 10万件以上 、またはファイルが頻繁に重くなる | Power BI、専用データベース(SQLなど) |
| 同時編集者数 | 常に 10名以上の同時編集 が必要 | Access(Web版)、SharePointリスト、専用DB |
| リアルタイム性 | 複数人での リアルタイム同期編集 が必須 | Google Workspace(スプレッドシート)、専用SaaS |
| 外部連携 | 社外のパートナーや顧客との データ共有 が頻繁に必要 | クラウドストレージ、専用プラットフォーム |
| 信頼性・セキュリティ | データ損失やエラー発生 ※ を絶対許容できない、高度なアクセス制御が必要、 自動バックアップ が必須 | 監査ログ機能付きクラウドサービス、専用システム |

※ 「エラーの発生」については、「Excelの苦手な領域」というよりも、自作することが原因で発生しがちな問題です。
他サービス導入のメリット・デメリット
専用サービスや他ツールを導入する際は、コストと柔軟性のバランスを比較検討しましょう。
メリット
- 属人性・メンテナンス問題が解消:
サービス側で機能が保証されるため、自分たちでツールのメンテナンスをする必要がなくなります。 - 品質・安定性が高い:
大量のデータ処理や同時アクセスに対する 安定性 が保証され、自作よりも不具合が少ないツールが使用できます。 - 導入すればすぐ使える:
ゼロから仕組みを構築する必要がなく、導入後すぐに業務に適用できます。
デメリット
- 導入コストが高い:
ライセンス費用や初期構築費用、運用費用がかかります。 - 教育・運用コストが必要:
利用者が新しいツールを習得するためのトレーニングや、運用部門による管理が必要です。 - カスタマイズ性が低い:
汎用的なツールの場合、自社の 独自の業務フローに完全に合わせられない 場合があります。 - 使わない機能が多い可能性:
多機能なサービスの場合、利用しない機能にもコストを払っている可能性があります。
導入ステップ
- 低コストツールで効果検証:
- まずはGoogleスプレッドシートやAccess(小規模)など、比較的低コストで試せるツールを導入し、 課題解決の効果がどれほどあるか を検証します。
- 要件の整理と評価:
- 「Excelや他の低コストツールでは代替できない機能は何か」を洗い出し、 必要な機能(リアルタイム性、セキュリティ、データ量など)と予算を整理します。
- 専用ツールの検討:
- 要件整理の結果、Excelや低コストツールでは対応が難しいと判断した場合にのみ、高コストな専用業務ツール(ERP、SFA、CRMなど)の導入を検討します。
候補サービス例
- クラウドサービス: Googleスプレッドシート、クラウドデータベース(Airtable、Notionなど)、SharePointリスト
- Microsoftエコシステム: Power BI(高度なデータ分析)、Power Automate(他システム連携)、Power Apps(プログラミング不要のアプリ開発)
- 専用業務ツール: SFA(営業支援)、CRM(顧客管理)、ERP(基幹システム)など
まとめ
Excel業務のムダの多くは、
ポイントは一貫してシンプルです。
- テーブル で “データの置き場” を整え、
- Power Query で “データ連携と加工” を自動化する。
この2つを使いこなすだけで、業務は次のように変わります。
- 必要なデータがすぐに手に入る
- 転記・整形の手作業がゼロに近づく
- 誰が作業しても同じ結果(再現性)が担保される
- VBAや外部ツールに依存しない仕組み化ができる

Excelを使うメリットである 「環境構築の簡単さ」「社内メンバーの習熟度」「既存ファイルの活用性」 によって、コストや導入のハードルも非常に低く済みます。
今後の進め方(ロードマップ)
効率化は一気に進める必要はありません。
- テーブル化する (すべての元データをテーブル化するだけでも効果あり)
- Power Queryで別シートに取り込んでみる
- 結合・フィルタ・整形のステップを追加してみる
- 複数ファイルやフォルダ取り込みに挑戦する
- (必要な場合のみ) VBAで最後の自動化だけ補う
まずは「2〜3ステップの処理の自動化」程度で十分です。
最後に
筆者自身、Power Queryやテーブルの使い方を「もっと早く知っていれば…」と思った一人です。
この記事が、あなたの「明日の作業時間を削減する最初の一歩」になれたら幸いです。