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エクセル顧客管理データベースの作り方【壊れない情報システム設計】

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はじめに

Excel(エクセル)で顧客管理を行う際、次のような悩みを感じたことはありませんか?

  • 「あとから列を追加したら使いづらくなり、リンクも切れてしまった」
  • 「フィルターや集計がうまく機能しない」
  • 「入力方法が人によってバラバラになっている」

Excelで顧客管理を行う場合でも、表の作り方・項目設計・テーブル化の考え方 を押さえるだけで、後から行や列を追加しても壊れにくく、検索・分析・再利用まで可能な実務で使えるデータベース を構築できます。

この記事では、

  • 顧客管理データベースの正しい設計手順
  • 「1行1データ」「顧客情報と履歴を分ける」理由
  • テーブル化すると何がどう便利になるのか
  • 入力・修正・閲覧・分析まで一貫して使える構成

を、業務ですぐに活用できる形で解説します。

「とりあえず表を作る」のではなく、長く使い続けられる顧客管理データベースを作る ことを目指します。

Excelのバージョン

本記事は、Excel 2024(ローカルまたは共有フォルダでの運用) を前提に作成しています。
環境によっては、UIなど細かな点が異なる場合があります。

※ 本記事では「Excel(エクセル)を、見出しでは「エクセル」本文では「Excel」と表記します。

エクセル顧客管理データベースの作り方【基本手順】

Excelで顧客管理データベースを作成する際の、基本となる3つのステップを解説します。

STEP1 : 管理項目を設定する(まず顧客情報を整理)
STEP2 : 顧客データを入力する(テーブル化のルールに従う)
STEP3 : テーブル機能でデータベース化する

 

STEP1:管理項目を設定する(まず顧客情報を整理)

データベースの基本は「表(テーブル)です。まずは、表にどのような項目を持たせるかを事前に決めておきます。

記録すべき顧客情報は、BtoBかBtoCかによって異なります。以下は、それぞれのケースにおける項目例です。

【BtoBの場合】

  • 顧客ID(主キー)
  • 企業名 住所 郵便番号 電話番号 担当部署 担当者名 メールアドレス など

【BtoCの場合】

  • 顧客ID / 会員番号(主キー)
  • 氏名 住所 電話番号 メールアドレス 性別 生年月日 など

主キーとは

主キー とは、
1件のデータを一意に識別するための値で、他の行と重複してはいけません。
連番や一意な文字列が使われることが一般的です。

主キーは、他のテーブルとデータを紐づける際や、
並び替え後に元の順序へ戻す際にも利用されます。

吉峰
吉峰

顧客情報履歴情報 は分けて考える べきです。顧客情報を格納する表の中に、今後何度も増えていく情報(購入履歴、対応履歴など)を混在させると、管理が煩雑になります。履歴情報は別のテーブルで管理するのが、データベース設計としての基本です。

 

STEP2:顧客データを入力する(テーブル化のルールに従う)

管理項目が決まったら、Excelシートに実際のデータを入力していきます。

基本ルールは次の通りです。

  • 横(列)方向に項目を配置する。
  • 1行に見出し(項目名)その下以降にデータを記入する。
  • 1行につき1件のデータを入力する。
  • セル結合は使用しない。

これらのルールを守らないと、次のステップである「テーブル化」が正しく機能せず、データベースとして扱いづらくなります。

STEP2:顧客データを入力する

※ 本記事で使用するサンプルデータはテスト用の架空のデータであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません

吉峰
吉峰

ルールは他にもいくつか存在します。より詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。

» 総務省に則した作成ルールまとめ

列幅の自動調整

複数列の幅は一括で自動調整できます。

  1. 調整したい複数の列を選択する(Shift を押しながら列の端をクリック)
  2. 選択した列のいずれかの境界をダブルクリック。
 

STEP3:テーブル機能でデータベース化する

シートに必要な項目とデータを入力できたら、次に テーブル化 を行います。

テーブル化の方法

  1. テーブルにするセルを選択(範囲選択も可)
  2. 挿入タブのテーブルCtrl + tを選択。
STEP3:テーブル機能でデータベース化する

テーブル化することで、次のようなメリットがあります。

【テーブル化のメリット】

  • スタイリングが簡単 :

    テーブル化すると自動で装飾が適用されます。
    罫線を1セルずつ設定する必要がなく、手間をかけずに見た目を整えられます。

  • フィルターボタンが標準搭載 :

    テーブル化すると、フィルターボタンが自動的に表示されます
    (不要な場合はOFFにすることも可能)
    フィルターボタンから、フィルタリングや並び替え(ソート)をすぐに実行できます。

  • 構造化参照(テーブル参照)が使える :

    テーブル内のセルは、構造化参照(テーブル参照)という形式で参照できます。
    この形式で範囲指定しておくと、データを追加した際に参照範囲が自動で拡張されます。

    また、別ブックから外部参照した場合でも、リンクが切れにくくなります(Power Query使用時)

吉峰
吉峰

テーブル化した後は、わかりやすいテーブル名を設定しておくと、マスタとして利用しやすくなります。ただし、一度設定した「テーブル名」や「見出し名」は、基本的に変更しないようにしましょう。外部参照時にリンク切れが発生する原因になります。

テーブル名の設定方法

  1. テーブル内のセルを選択。
  2. テーブルデザインタブのテーブル名欄にテーブル名を入力(例:M_顧客

顧客管理を効率化するエクセルの便利機能

作成した顧客管理データベースを活用するうえで、役立つExcel機能を紹介します。

用途や場面に応じて、3つに分類しました。

  1. 最初に設定 しておきたい必須機能(システム拡張) :

    • データの入力規則, 条件付き書式, ウィンドウ枠の固定, グループ化
  2. データ入力・修正 を効率化する操作テクニック :

    • 移動・行追加, コピー&ペースト, ドロップダウンリスト
  3. データ閲覧・確認 のための機能 :

    • フィルター, 並び替え・ソート, 検索
吉峰
吉峰

この章で紹介するのは、「実際に運用する段階で役立つ機能」です。最初はSTEP1〜3まで実施するだけでも、顧客管理データベースとして十分に使えます。

 

1. 最初に設定しておきたい必須機能(システム拡張)

データベースを作成した後、より扱いやすい仕組みにするための機能拡張 として活用できるExcel機能です。

データの入力規則:入力値を制限する

データの入力規則 は、セルに入力できる値を制限 するExcel機能です。データの整合性を確保 するために役立ちます。

たとえば、「列内で重複を禁止する」生年月日列には 日付 形式のみを許可する」といった制限を設定できます。

【「顧客ID列で重複不可」の設定例】

  • 入力値の種類 : ユーザー設定
  • 数式 : =COUNTIF($A:$A,A2)=1
  • エラーメッセージ
    • タイトル : 「重複禁止」
    • エラーメッセージ : 「重複しないIDを入力してください。
データの入力規則
吉峰
吉峰

データの入力規則 は、さまざまな場面で活用できます。

データの入力規則の主な機能

  • 入力できる セルの値を制限 する
  • ドロップダウンリスト から選択して入力できるようにする
  • セル入力時に メッセージを表示 する

制限できるのはセルへの直接入力のみ

データの入力規則 で制限できるのは、セルへの直接入力のみです。
コピー&ペーストによる入力にも対応するには、条件付き書式 を併用しましょう。

条件付き書式:規則違反セルをハイライトする

条件付き書式 は、指定した条件に一致するセルをハイライト表示 するExcel機能です。データ整合性の確保や、視認性の向上 に役立ちます。

たとえば、「列内の重複データを強調表示する」カテゴリ列の値ごとに色分けする」といったことが可能です。

【「企業名列内の重複をハイライト」の設定例】

  • ルール : 重複する値
  • 書式 : 濃い黄色の文字、黄色の背景
条件付き書式

「同一列内の重複をハイライト」の設定をコピーする方法

条件付き書式の設定は、コピー&ペーストで再利用できます。
これを活用すれば、同じ設定を複数の列に簡単に適用できます。

手順は次のとおりです。

  1. 1つのテーブル列に「同一列内の重複をハイライト」する設定を行う。
  2. 設定した列をコピー。
  3. 別の列に書式を貼り付け。
    • 右クリック > 貼り付けオプションの書式設定
    • または Ctrl + Alt + v > 書式

ウィンドウ枠の固定:見やすさを向上させる

ウィンドウ枠の固定 は、スクロール時に特定の行や列を固定表示 できるExcel機能です。データ量が多いテーブルでも、視認性を保てます。

【上1行とAB列を固定する例】

ウィンドウ枠の固定

テーブルの見出しはデフォルトで固定される

最近のExcelでは、テーブル化されている場合、
見出し行はデフォルトで固定表示 されます
(厳密には、テーブルの見出しがヘッダーとして表示される)
ただし、テーブル内のセルを選択している場合に限ります。

テーブルの見出しのヘッダー表示

グループ化:列を一時的に非表示にする

グループ化 は、特定の列を折りたたんで表示・非表示を切り替えられる Excel機能です。テーブルが大きくなった場合でも、画面をすっきり保つ ことができます。

吉峰
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だけでなく に対しても設定できますが、「特定の を一時的に非表示にしたい」場合は、フィルター機能を使いましょう。 の並び替え時に、意図しない動作を防ぐためです。

担当部署列を折りたたむ例】

グループ化

「セルの非表示」機能は非推奨

列を見えなくする方法として「セルの非表示」機能もありますが、
非表示箇所が分かりづらく、トラブルの原因になりやすいため、個人的には非推奨です。

吉峰
吉峰

テーブルの 見栄え見栄え を重視しすぎると、データの 再利用性再利用性 が下がります。一方で、再利用性再利用性 を重視しすぎると、パッと見て 分かりにくくなりがち分かりにくくなりがち です。

見栄え見栄え再利用性再利用性 を両立させる考え方については、こちらの記事でまとめています。

 

2. データ入力を効率化する操作テクニック

作成したデータベースにデータを入力する際に、覚えておくと便利なテクニック を紹介します。

移動・行追加

テーブル内の移動新規行の追加 を行うためのショートカットです。

  • 下 / 右へ移動:Enter / TabShift を同時に押すと逆方向)
  • 新規行の追加:Tab(テーブルの右下端で)

コピー&ペースト

選択した範囲のデータをクリップボードに保存し、別の場所へ貼り付けます(通称「コピペ」「新規行の内容を、既存行を元に一時的に埋めたい場合」などに役立ちます。

ショートカット:Ctrl + c(コピー)Ctrl + v(貼り付け)

ドロップダウンリスト(プルダウン、リスト選択)

ドロップダウンリストから選択してセルに入力できます。選択肢には、データの入力規則で設定した内容や、同じ列にすでに入力されている文字列が候補として表示されます。

ショートカット:Alt +

セル値の置換(セル値の一括変換)

置換機能を使うと、指定したブック内のセルに対して、条件に一致する文字列を一括で修正できます。文字列の置換だけでなく、不要な文字(空白など)の削除も可能です。

事前にセル範囲を選択しておくことで、その範囲内のみに処理を限定できます。

ショートカット:Ctrl + h(ダイアログ表示)

吉峰
吉峰

データ入力や修正時に役立つテクニックやショートカットは、ほかにも数多くあります。こちらの記事にまとめているので、興味のある方は参考にしてください。

 

3. データ閲覧・確認するための機能

作成したデータベース内のデータを閲覧・確認する際に役立つ Excel機能です。

フィルター

フィルター機能 は、テーブルの見出しに表示される フィルターボタン から使用できます。特定の行を一時的に非表示(折りたたみ)にできる ため、行数が多い場合に便利です。

行の一時非表示

並び替え・ソート

並び替え・ソート機能 も、テーブル見出しの フィルターボタン から利用できます。基準とする列を選択し、昇順または降順で並び替えることで、行の順序を整理し、見やすくできます

検索

検索機能 を使うと、指定した文字列や数値を含むセルを素早く探し出せます。事前にセル範囲を選択しておくと、その範囲内のみを検索対象にできます。

ショートカット:Ctrl + f(ダイアログ表示)

作成した顧客管理データベースの活用方法

データベースは 閲覧するため だけだけ のものではありません。ここでは、代表的な活用方法を2つ紹介します。

  • マスタデータとして再利用する方法
  • 顧客分析に活用する方法
 

マスタデータとして再利用する方法

データベースは、マスタデータとして再利用できます。情報の保管場所を1か所に集約できるため、データが分散せず、常に最新の状態を維持しやすくなります。

最新の情報を参照することで、転記(コピペ)作業を行わなくても、データを利用する側で常に最新状態を保てる点は大きなメリットです。

作成したデータベースを利用する方法は、主に 関数Power Query(パワークエリ) の2通りがあります。

関数とPower Query(パワークエリ)の使い分けの目安

  • 関数 :
    同一ブック内で参照する場合に主に使用します。
    特に、取得するセルが単一の場合に有効です。

  • Power Query :
    別ブックから参照する場合に主に使用します。
    同一ブック内であっても、取得するセルが複数ある場合には便利です。

    » Power Queryの詳細はこちら

 

顧客分析に活用する方法

顧客管理データベースを活用することで、顧客分析 を行うことができます。ただし、顧客情報(顧客マスタ)だけでは不十分で、履歴情報(購入履歴、対応履歴)もあわせて管理する必要があります。

データベース設計の考え方に沿って、管理しやすい構成を作るための流れは以下の通りです。

  1. 顧客情報と履歴情報を、それぞれ別のテーブルとして管理する。
  2. 履歴情報をもとに 顧客分析 を行い、顧客ごとの評価(顧客ランクなど)を算出する。
  3. 算出した顧客評価を、履歴情報に反映する。
吉峰
吉峰

ここでは、履歴情報の具体的な管理方法や顧客分析の手法については、詳しく扱いません。

エクセルで顧客管理データベースを作るメリット

Excelで顧客管理データベースを作成する主なメリットは、次のとおりです。

  • 導入コスト:環境構築が不要(コストゼロですぐに始められる
  • 教育コスト:多くの人が使い方に慣れている
  • カスタマイズ性:できることの範囲が広い
 

① 導入コスト:環境構築が不要

多くの企業のPCには、あらかじめExcelがインストールされているはずです。そのため、追加費用やセットアップ作業、利用権限の申請などが不要で、コストをかけずに、すぐ試せる 点が大きなメリットです。

必要な機能を後から追加する場合でも、追加費用なしで対応できます。
細かな調整を柔軟に行える点も利点です。

 

② 教育コスト:多くの人が使い方に慣れている

入力方法やカーソル操作など、Excelには独特の操作性がありますが、慣れると非常に扱いやすいツールです。すでにExcelの利用経験がある人が多い ため、「使い方がわからず大変」という心配が少なく済みます。

まったく新しいツールを導入する場合、
使い方を覚えてもらうための 教育コスト が発生するだけでなく、
導入時に 心理的な抵抗感 を生んでしまう可能性もあります。

 

③ カスタマイズ性:できることの範囲が広い

Excelは表計算ツールとして優れているだけでなく、カスタマイズ性が高いため、それ以外にも幅広い処理が可能です

難易度は上がりますが、マクロ/VBAを活用できるようになると、
さらに対応できる範囲が広がります。
「あと少しだけ便利にしたい」といった日々のストレス軽減にもつながります。

エクセル顧客管理のデメリットと注意点

Excelには 苦手な作業や明確な限界 もあります。デメリットを理解したうえで、必要に応じて早めに専門ツールへの移行を検討することも重要です。

Excelで顧客管理データベースを作成する主なデメリットは、次のとおりです。

  • ① セキュリティ対策が難しい(ファイル管理)
  • ② 誤操作・削除リスクがある(自動バックアップ非搭載)
  • ③ 属人化や維持管理コストが発生するリスクがある
  • ④ 大容量データでは動作が重くなる
  • ⑤ 同時編集や共有、マルチモバイル対応が弱い
 

① セキュリティ対策が難しい(ファイルで管理されている)

Excelはデータをファイルとして保存するため、誰でも比較的簡単に閲覧・コピーができてしまいます。顧客情報は会社にとって重要な資産ですが、個人がファイルをコピーしてクラウドストレージに保存した結果、第三者に流出してしまう、といったリスクも考えられます。

 

② 誤操作・削除リスクがある(自動バックアップ非搭載)

Excelには、ローカル保存したファイルの 自動バックアップ機能が標準で搭載されていません共有サーバー上で管理している顧客管理ファイルを、誰かが誤って書き換えたり、削除してしまった場合でも、元の状態に復旧するのは困難です。

吉峰
吉峰

「自動回復ファイル保存」機能はありますが、Excelが何らかの理由で強制終了したときのバックアップであり、常時バックアップとしては機能しません。

 

③ 属人化、維持管理コスト発生のリスクがある

Excelで顧客管理データベースを作成する場合、基本的には個人が自作・管理する形になります。そのため、属人化や維持管理コストが発生する可能性があります。

1テーブル程度のシンプルな構成で、基本的なExcel機能のみを使っている場合はリスクは小さいですが、複数テーブルを連携させたり、複雑な機能を追加すると、「作成者以外は触れない」という属人化につながりがちです。また、作成者本人であっても、時間が経つと「どこをどう設定したのかわからない」といった保守面での問題が発生することがあります。

 

④ 大容量データでは重くなる

Excelは、数万件を超えるような 大規模データの処理が苦手 です。データ量が増えると、次のような問題が起こりやすくなります。

  • フリーズしやすくなる
  • 計算処理が遅くなる
  • 保存に時間がかかる
  • 行数が約100万行を超えると保存できない
吉峰
吉峰

約100万行超えのデータは、Excelで扱えませんが、実際は数十万行程度のデータでも動作が著しく低下します。

 

⑤ 同時編集、共有・マルチモバイル対応が貧弱

Excelはもともと、複数人での同時編集よりも、個人で完結する用途を想定して作られたツール です。1つのファイルを複数人で同時に編集することはできません(閲覧のみであれば可能です)

また共有機能も限定的で、複数人での共有や、PCとスマホをまたいだ利用といったことは、Excel単体の機能だけでは対応が難しいのが実情です。

エクセルの弱点を補うための対処方法

Excelで顧客管理データベースを作成する際の弱点を補うために、代表的な対処方法をいくつか紹介します。

  • A. 誤操作・削除リスクと共有面に対応 :クラウドストレージやWeb版を活用
  • B. 大容量データに対応 :Excelブックを分割し、Power Queryで結合
  • C. すべてに一括対応 :専用ツール(CRM:Customer Relationship Management)の導入

【Excel顧客管理のデメリットと対策方法】

No.デメリット対策方法
セキュリティ対策(情報漏洩・権限管理の弱さ)→ 専用ツールの導入
誤操作によるデータ破損・削除リスク→ クラウドストレージの活用
→ 専用ツール(CRM)の導入
属人化・維持管理コスト発生のリスク→ 専用ツール(CRM)の導入
大容量データによる動作遅延・フリーズ→ Excelブック分割+Power Queryで結合
→ 専用ツール(CRM)の導入
同時編集不可、共有・モバイル対応の弱さ→ クラウドストレージやWeb版の活用
→ 専用ツール(CRM)の導入
 

A. 誤操作・削除リスクと共有面に対応:クラウドストレージやWeb版を活用

「② 誤操作によるデータ破損・削除リスク」「⑤ 同時編集不可、共有・モバイル対応の弱さ」への対策としては、クラウドストレージ(OneDrive、SharePoint など)Web版Excel の活用が有効です。

多くのクラウドストレージには
「ファイルの履歴復元機能」が備わっています。
クラウド上に保存したExcelブックであれば、
誤ってデータを書き換えたり削除した場合でも、
過去の状態にさかのぼって復元できます。

また、OneDriveやSharePoint上のExcelブック※であれば、
Web版Excel を利用できます。
Web版では、
「複数人での同時編集」や「スマホからの閲覧」にも対応しています。

※ ただしマクロ/VBA入りの.xlsmファイルなど、複雑なブックでは「複数人での同時編集」に制限あり。

吉峰
吉峰

スマホやタブレットの場合は、スマホ専用アプリで開く方法もあります。

 

B. 大容量データに対応:Excelブック分割+Power Queryで結合

「④ 大容量データによる動作遅延・フリーズ」への対策としては、Excelブックを分割し、Power Queryで結合する方法があります。ブックを分割することで、1ファイルあたりのデータ量が減り、動作を軽くできます。

具体的には、データの入力や修正は分割したExcelブックで行い、閲覧や分析は別ブック側でPower Queryを使って結合する、という運用です。結合後の大量データは、Power QueryやPower Pivotで扱います。

吉峰
吉峰

ただし、Web版ExcelではPower Queryの機能がほぼ制限されています。そのため、「④ 大容量データへの対応」と他の課題を同時に解決するのは難しい点に注意が必要です。

 

C. すべてに一括対応:専用ツール(CRM)の導入

ここまで挙げた、Excel利用時の5つのデメリットをまとめて解消したい場合は、顧客管理に特化した専用ツール、CRM(Customer Relationship Management) の導入が選択肢になります。

CRMでは、
データをクラウド上で管理し、
共有機能、モバイル対応、アクセス権限管理、自動バックアップなどが備わっている製品も多く、
Excelの弱点を補うことができます
さらに、顧客管理に特化した設計 のため、
どこからでも簡単にデータ入力できるなど、
業務に直結する便利な機能を備えている点もメリットです。

吉峰
吉峰

ただし、製品やサービスによって機能は大きく異なります。選び方を誤ると、Excelの弱点を十分に解消できない場合もあります。また、Excel使用時のメリットが失われるケースもあります。CRM導入時は、製品・サービス選びが非常に重要 です。

まとめ|エクセル顧客管理データベースを正しく使うために

Excelで顧客管理を行う際は、テーブル化を前提に設計すること が基本です。さらにPower Queryを活用することで、データベースの活用範囲を大きく広げられます。

小規模な組織であれば、低コストで柔軟に構築できるExcelによる顧客管理データベース は非常に有効な選択肢です。

一方で、
Excelによる顧客管理データベースにも弱点があるため、
「個人に依存したシステムにしたくない」
「共有やマルチデバイス対応にしたい」
のような場合は、
専用ツール CRM の導入も検討するのが良いでしょう。