セル結合は禁止!総務省に則した作成ルールとやめてほしいエクセル表

はじめに
- 「後で苦労しないように、二度手間が発生しないように、正しいルールで表を作りたい」
- 「ファイルを共有したときに他の人に迷惑をかけないように、間違ったやり方をしていないかチェックしたい」
上記のような人に向けて、
本記事は、総務省から公開されている統計表の作成・データの表記方法の統一ルールをまとめた資料

本記事の内容は私個人の解釈に基づくものであり、人によってはルールや対応策が妥当ではないと感じる場合もあるかもしれません。
本記事の内容を確認することで、以下のメリットがあります。
- 間違った表作成をしていないか確認できる。
- 間違っていた場合の修正方法がわかる。
適切な表作成ができれば、無駄な作業や二度手間を削減 できます。
ルールの目的とメリット
Excelの表作成ルールを守ることで、以下のようなメリットがあります。
-
無駄な作業や二度手間を削減し、データ活用を促進できる :
前処理や加工が不要で、 すぐに他の場所で利用できる形式でデータを格納するのが表作成の基本 です。
これにより、データを整える手間を毎回省き、計算や分析・集計に活用しやすくなります。 -
表の編集と保守管理が容易になる :
列ごとのデータに一貫性を持たせ、
分かりやすく 構造化された表にすることで、意図しない操作や入力ミスを防げる 可能性が高まります。
後から内容を修正したり、新しいデータを追加したりする際の作業負担を軽減できます。データ型などの設定変更を、 セル単位 ではなく 列全体 に 一括 で行える構造の表にしておくこともポイントです.
-
テーブル機能を最大限に活用できるようになる :
正しく表を作成すると、 「Excelのテーブル機能を使用する上で満たすべき条件」が自然と満たされます 。
ルールを身につければ、特に意識することなくテーブル機能をフル活用できるようになるでしょう。
適用範囲
本記事のルールは、Excelのテーブル機能に限定されません。
テーブル機能を使わない 通常の表作成においても有効 なルールです。
本記事のルールの位置づけと分類
先にも述べましたが、
本記事では、ルールを以下の3つのカテゴリに分けて説明します。
- I. データの品質・整合性を高めるルール
- データの値が正しく、意味を明瞭にし、他のシステムとの 互換性 を最大化するためのルール。
- II. データ以外の要素を排除するルール
- 見た目の整形や装飾のための要素が、純粋なデータ処理や 保守管理の妨げ にならないようにするためのルール。
- III. テーブル構造・レイアウトに関するルール
- Excelの集計機能(並び替え、フィルタ、ピボットテーブルなど)が 正しく機能 するための、物理的な構造に関するルール。
総務省の資料について
本記事のルールには、総務省から公開されている資料「統計表における機械判読可能なデータ作成に関する表記方法」(令和2年12月18日公開)の内容が含まれています。
この資料は各府省を対象としたものですが、Excel利用者全員にとって非常に参考になる内容です。
※ 総務省の資料に記載があるものの、本記事では関連性が低いと判断した項目は省いています。
I. データの品質・整合性を高めるルール
I-1. 数値データは数値属性とし、文字列を含まない
数値データは、 純粋な数値形式 で記述する必要があり、
(総務省資料「チェック項目1-3 値データは数値属性とし、⽂字列を含まないこと」項目に該当)
-
❌ NG :
単位を直接セルに記入する(例:100 mm)。-
🟢 対応策1 :
見出しに単位を記入する
(例:幅 (mm))。 -
🟢 対応策2 :
表示形式の設定で単位を追加する
(例:分類をユーザー定義にして、種類をG/標準" mm"に設定する)。
-
-
❌ NG :
数値のマイナスを表現するために、▲記号を直接記入する
(例:▲1000)。- 🟢 対応策 :
数値にはマイナスを使って記入し、表示形式の設定で▲表示にする
(例:分類を数値にして、負の数の表示形式の欄から▲ 1234を選択する)。
- 🟢 対応策 :

CSV出力など、ブック外でテーブルのデータを利用する場合は、表示形式の設定に注意が必要です。
I-2. データの単位を記載する
数値データが何を示しているかを明確にするために、 単位 をシート上から削除せず、情報を残しておく必要があります。
(総務省資料「チェック項目1-9 データの単位を記載しているか」項目に該当)
❌ NG :
データの単位がどこにも記入されておらず、不明確である。
🟢 対応策1 :
見出しに単位を記入する(例:数量 (個))。
🟢 対応策2 :
表示形式設定を使って単位を追加する
(例:分類をユーザー定義にして、種類をG/標準" 個"に設定する)。

ブック外でテーブルのデータを利用する場合は、対応策1がオススメです。
I-3. 項目名等を省略しない
部分的に重複する内容が上の行に記載されている場合でも、
(総務省資料「チェック項目1-6 項⽬名等を省略していないか」項目に該当)
❌ NG :
項目名が省略されている(例:商品Aの下をBに)。
🟢 対応策 :
重複部分も記載し、正式名称を記載する(例:商品B)。
I-4. 環境依存文字を使用しない
異なる環境での表示崩れを防ぎ、データの 普遍性を保つ ために、
(総務省資料「チェック項目1-10 機種依存⽂字を使⽤していないか。」項目に該当)
❌ NG :
環境依存文字を使用する(例:①)。
🟢 対応策 :
環境依存文字以外の文字に置き換える。
- 丸囲み数字:① ② → 括弧+数字:(1) (2)
- ギリシャ数字:Ⅰ Ⅱ → アルファベット:I II
- 括弧付き文字:㈱ ㈹ ㈪ → 括弧+文字:(株) (代) (月)
- 単位:㍉ ㌔ ㌢ → アルファベット:mm km cm
I-5. 時間軸の表記では西暦を使う(または併記)
「令和2年」のような「和暦」よりも「2020年」のような西暦の方が、
データに「年」を含める場合は、「西暦」を入れるようにしましょう。
(総務省資料「チェック項目1-11 e-Stat の時間軸コードの表記、⻄暦表記⼜は和暦に⻄暦の併記がされているか」項目に関連)
❌ NG :
和暦単独で表記する(例:令和6年のみ)。
🟢 対応策 :
西暦を用いる(例:2024)。または、西暦と和暦を併記する。
I-6. 書式設定・データ型の設定をセルごとに行わない
書式設定(背景色・フォント装飾など)やデータ型・表示形式(数値、日付、時刻など)の設定は、
このような設定は、
(総務省資料に該当項目なし)
❌ NG :
セルごとに書式設定やデータ型の設定を行う(例:B2セルのみ背景色を黄色にし、B列の他のセルは未設定)。
🟢 対応策 :
書式設定やデータ型・表示形式の設定は列単位で行う。値によって見た目を変えたい場合は、 条件付き書式 を活用する。
I-7. 色や文字装飾(書式設定)のみに情報を持たせない
色や文字装飾のような、書式のみに情報を持たせるようなことは避けましょう。
(総務省資料に該当項目なし)
❌ NG :
色や文字装飾のみで状態を示す(例:「赤色:重要」「黄色:未確認」「取り消し線:無効」)。
🟢 対応策 :
状態を示す列を追加し、セル内の値として情報を入力する。
II. データ以外の要素を排除するルール
II-1. スペースや改行等で体裁を整えない
データの 検索性や互換性を維持 するために、
(総務省資料「チェック項目1-5 スペースや改⾏等で体裁を整えていないか」項目に該当)
❌ NG :
スペースや改行で体裁を整える。
🟢 対応策1 (スペース):
インデントや文字の書式設定(配置)で調整する。
🟢 対応策2 (改行):
列や行を増やすこと(階層化見出し)で対応する。
Excelのテーブル機能を使う場合は、見出しが1行に制限&重複が許されないため、テーブル外の上に(見出しとは別に)「見やすくするための行」の追加も有効。
🟢 対応策3 (改行):
文字を折り返して全体を表示に設定し、セルの幅を調整することで、セル内の文字を2段にする。
II-2. オブジェクトを使用しない
表の中では極力、 画像 や 図形 などの オブジェクト の使用は避けるようにします。
(総務省資料「チェック項目1-8 オブジェクトを使⽤していないか」項目に該当)
-
❌ NG :
図形でセルを強調する(例:目立たせたいセルを丸で囲う)- 🟢 対応策 :
条件付き書式 を使用する。
- 🟢 対応策 :
-
❌ NG :
データの内容や状態を図形で示す(例:「中括弧:これらはすべて同じ」「横線:無効」)。- 🟢 対応策 :
内容をセルの値として略さず記入する。必要に応じて列を追加する。
- 🟢 対応策 :
II-3. 「セルの非表示」は使用しない
行や列の 非表示 機能は使わない方が良いです。
(総務省資料に該当項目なし)
❌ NG :
行/列を 非表示 機能で隠す。
🟢 対応策 :
行行 に対しては フィルタ 機能を使い、列列 に対しては グループ化 機能を使用する。

行行 に対して グループ化 機能を使い、折りたたんだ状態で
II-4. 空の行を入れない
表の途中に 空の行 を挿入しても、
空の行 の前後で、Excelが別のテーブルとして認識してしまう可能性も生じます
(総務省資料「チェック項目2-1 データが分断されていないか」項目に関連)
❌ NG :
テーブルの途中に 空白行 を挿入し、行のまとまり・グループを表現する。
🟢 対応策 :
グループ列 を追加し、併用して 条件付き書式 も活用する。
II-5. 空の列を入れない
基本的には、空の 列列 の挿入も控えた方がよいと言えます。
空の列 の前後で、Excelが別のテーブルとして認識してしまうこともあり得ます。
(総務省資料「チェック項目2-1 データが分断されていないか」項目に関連)
❌ NG :
テーブルの途中に 空白列 を挿入し、列のまとまり・グループを表現する。
🟢 対応策 :
見出しセルの書式(色やフォント)設定や、見出し行の上部でグループ分けを表現する。
III. テーブル構造・レイアウトに関するルール
III-1. 1セル1データ
1つのセルには 1つのデータ のみを格納し、複数のデータをまとめて記入しないことが重要です。
(総務省資料「チェック項目1-2 1セル1データとなっているか」項目に該当)
❌ NG :
1つのセルに複数のデータを含める(例:りんご 100円)。
🟢 対応策 :
列を追加してデータを分割する(例:品名列にりんご、価格(円)列に100)。
III-2. セルの結合をしない
セルの結合 は基本的にNGです。
Excelのテーブル機能の中では、 セルの結合 使用不可でもあります。
(総務省資料「チェック項目1-4 セルの結合をしていないか」項目に該当)
❌ NG :
セルを結合する。
🟢 対応策 :
セル結合せず、1セル1データを遵守する。必要に応じて列を追加する。
III-3. テーブルを分断しない
列の項目(見出しの内容)が同じ場合は、テーブルを分割してはいけません。
保守管理の面でも、
(総務省資料「チェック項目2-1 データが分断されていないか」項目に該当)
❌ NG :
関連するデータが複数のテーブルに分断されている。
🟢 対応策 :
1つのテーブルにまとめる。グループ分け目的でテーブルを分割しているのであれば、グループ行を追加する(条件付き書式の併用も有効)。
III-4. 1シートに複数の表を掲載しない
複数の表を横並びにすると、
たとえば、Excelのテーブル機能を使った表を2つ横に並べると、次のようなことが起こります。
- 行の挿入 ができなくなる。
- 一方のテーブルでフィルタを使用すると、他方のテーブルにも影響が出る。
- 左テーブルで列の入れ替えをすると、右テーブルのレイアウトが崩れる
(右テーブルの行数が多い場合に発生。回避策あり)。
1つのシートには 1つの表 のみを掲載するようにするのが無難です。
(総務省資料「チェック項目2-2 1シートに複数の表が掲載されていないか」項目に該当)
❌ NG :
1つのシートに複数の表を掲載する。
🟢 対応策 :
各表ごとにシートを分ける。
III-5. 見出しは1行に必要情報を収める
Excelのテーブル機能の仕様条件では、見出しは1行(かつ、見出し間で重複禁止)に制限されています。
Power Queryなどで外部からテーブルを参照したときは、
ただしセル内で改行するのは避けるべきです。
(総務省資料に該当項目なし)
❌ NG :
1行だけで列を判別できない、複数行の見出しを付けている。
🟢 対応策 :
「何のデータか」がわかるように、必要な情報を1行のセルに収める。
階層化した見出しを表現するときは、見出しより上の行を活用する(ただし、外部での利用時には見えない)。

表のデータの使用範囲がブック内に限定されているのであれば、
III-6. セル位置に依存する数式を避ける
データの並び替えやフィルタの使用を前提とする場合 は、
特に「3行 ~ 10行」のような(「列全体」を除いた)範囲指定では、

「列全体」の範囲指定は、Excelのテーブル機能で使える 構造化参照(テーブル参照) を使うことで、 セル位置に依存せず利用できるようになります 。
(総務省資料「チェック項目1-7 数式を使⽤している場合は、数値データに修正しているか」項目に関連)
❌ NG :
セル位置に直接依存する数式を使用する(例:=A1+B1)。
🟢 対応策 :
構造化参照(テーブル参照) や、
VLOOKUP系の関数(INDEX+MATCH、XLOOKUP)を活用する。
簡易的な対応策
数式ではなく 数値データ にする方法もあります。
ただしデータを修正するときには「数式で計算してから、数値データに変換」の作業が毎回必要になるため、保守管理の面で課題があります。
まとめ
本記事では、
- I. データの品質・整合性を高めるルール
- II. データ以外の要素を排除するルール
- III. テーブル構造・レイアウトに関するルール

正しい表作成は、データを使う上での「二度手間」を減らし、保守管理を容易にし、データの活用度を高めます。




















