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エクセルの限界とは?活/脱Excelの判断基準【向かない業務を徹底解説】

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  • 「Excelは業務でどこまで使用できるのか、弱点や限界を知りたい」
  • 「Excelを使用するメリット・デメリットを知りたい」
  • 「脱Excelをすべきなのか判断したい」

実は、エクセル機能をマスターしても効率化に結び付かず、無駄になる可能性があります。求めている機能がエクセルの苦手領域に属するものである場合、エクセルを極めても実装できない、制限がある、またはシステムが非常に複雑になるためです。

吉峰
吉峰

私は10年以上エクセルを触ってきました。ビジネスの現場でもエクセルをつかってきました。これまでの経験から感じたエクセルの向き不向きを整理します。

この記事では、業務でエクセルを使用する弱点と、そこから見えてくる限界、対策方法 について説明します。

この記事を読むと、直面しているExcelの問題が工夫次第でどうにかなるものなのか、連携ツールを導入したり、代替ツールに乗り換えたりすべきなのかを判断できるようになります。

Excelのバージョン

本記事は、Excel 2024(ローカルまたは共有フォルダでの運用) を前提に作成しています。
デスクトップ版Excelの単独使用を想定しており、OneDrive / SharePointとの併用や、Web版Excelは別扱いです。

※ 本記事の見出しでは「エクセル」本文では「Excel」と表記を統一しています。

メリット|エクセルの得意なこと

業務でExcelを使用するメリットと、Excelが得意とするタスクの領域について説明します。

 

エクセルを使用するメリット

別のツールと比較したとき、Excelを使用するメリットには以下があります。

  • 導入コストの低さ
  • 教育・学習コストの抑制
  • カスタマイズ性の高さ・応用範囲の広さ
  • オフライン動作
  • データ利用の柔軟性

導入コストの低さ

Excelを使用すると、ツールの導入コストを低く抑えられます多くの企業ではすでにExcelが使える環境が整っている場合が多いためです。追加の予算や環境構築の手間が不要であり、コストゼロですぐ使い始められます。

教育・学習コストの抑制

Excelはビジネスの現場に広く浸透しているため、使い慣れている人が多い です。教育・学習コストを必要とせず、多くの人に使ってもらうことも難しくありません。まだExcelに慣れていない人にとっても、Webや書籍などから情報収集しやすいことも利点です。

カスタマイズ性の高さ・応用範囲の広さ

Excelは表計算ソフトですが、カスタマイズ性が高く、応用範囲が広いツール です。

表計算ソフトであるため、データの整理や閲覧、分析やグラフによる可視化が手軽にできます。Excelを使ってツールを自作することもでき、入力項目から計算ロジック、レイアウトまで、細かい点を自由に設定できます。

オフライン動作

インターネット環境に左右されずに作業ができる 点も、Excelの利点です。

ExcelはローカルPC上に環境構築して動作するため、インターネットに接続していなくても使用できます。ネット回線の調子が悪かったり、メンテナンスが入っても影響なく作業に入れます。

データ利用の柔軟性

Excel内のデータは、他のアプリ上で再利用できる柔軟性 を持っています。コピペにより他のアプリに貼り付けたり、CSVファイルとして出力して他のアプリに読み込ませることで、幅広いアプリでデータを活用できます。CSV形式でなく、Excelブック形式をサポートするアプリも多く存在します。

 

エクセルの得意領域|向いている作業

Excelは 小規模・単純なローカル環境動作(Excel単体で完結する小規模作業) を想定されたアプリであり、これが[[得意領域]]です。

具体的には、以下のすべてを満たした状態のことです。

  • データ処理が小規模・単純
  • 1ブックで完結
  • Excelのみで完結
  • 個人使用
  • ローカルPC(オフライン)動作

上記のいずれかを満たさなくなった場合、得意領域から外れることになります。

エクセルの得意領域

デメリット|エクセルの限界・苦手なこと

エクセルの弱点

Excel使用にはデメリット・弱点が存在し、業務での限界や苦手なこともあります。Excelの弱点は、大きく分けて以下の2種類存在します。

 

アプリ起因の弱点

アプリ起因の弱点は、Excelというアプリの性能・仕様が起因となって発生する弱点のことです。Excelの得意領域から外れた場合に、以下のようなアプリ起因の弱点が生じます。苦手領域は 一言で言うと「 大規模・複雑なシステム業務です。

  • 大規模/高度なデータ処理に弱い
  • データ管理が苦手
  • ツール間/API/データ連携が限定的
  • 複数人使用(共有)に弱い
  • Web/クラウド連携に弱い

大規模/高度なデータ処理に弱い

Excelは大規模なデータを扱うことが苦手で、高度なデータ処理にも制限があります。

  • 大容量データに不向き:約100万行までのデータは扱えるが、PC性能や数式量によっては数十万行程度のデータでも動作遅延・フリーズが発生しやすい。
  • 高度なデータ処理ができない:高度な統計処理、本格的な機械学習やAI予測などのデータ処理は標準機能では不可。

データ管理が苦手

Excel単体では「データを管理する」という点で力不足な場合があります。とくに複数のブックをまとめて管理するのは簡単ではありません。

  • バージョン管理、変更内容の比較が困難 : バージョン管理機能がないため、最新情報が迷子になりやすいです。○○_最新版_最終版_....xlsxのようなファイルが量産されたり、似た情報が複数ファイル内に点在することになります。ファイル間での変更箇所も把握しづらいです。
  • セキュリティ面が弱い:Excelデータは誰でも簡単に閲覧でき、コピーも容易であるため、情報漏洩のリスクが高いです。部署や役職といったロールベースでデータ閲覧制限を設定するのは難しくなります。
  • データ損失・整合性破壊のリスクがある : バックアップ機能が弱く、誤操作によってファイルの上書き・削除が生じたり、エラー発生によってデータ破損が生じるリスクがあります。複数人で使用する場合では、計算式の破壊、データの型崩れも簡単に起こります。
  • データの改ざんリスクがある : Excelのデータは簡単に書き換えることができるため、過去に作成されたデータを改ざんされるリスクがあります。客観的な記録としては不十分になるケースもあります。

ツール間/API/データ連携が限定的

  • 他のツールとの連携が弱い : Excelは他のツールとの間の連携が弱いです。データを連携させたい場合は、「コピペによる転記」や「ExcelでCSVファイルを出力し、他のツールでインポート」のような手作業に頼りがちになります。
  • データ入力でヒューマンエラーのリスクがある : Excelでは、基本的にデータ入力が「セルへの直接記入」であり、ヒューマンエラーが起こりやすいです。QRコードやICカードとの連携(データの読み取り)など、データの自動入力は難しいです。

複数人使用(共有)に弱い

  • 共同編集が苦手 : 複数人での同時編集ができません。最初に開いた人以外は読み取り専用になります。
  • 更新がリアルタイムでない : 閲覧に限っても、リアルタイムの最新情報共有が難しいです。セル入力だけでは更新されず、「ファイルを保存」するまでは、他の人から見える情報は古いままです。
吉峰
吉峰

Excelブックを共有する方法には、ファイルをメールなどに添付する、共有フォルダ/NAS上に配置する、クラウドストレージで共有するといった方法があります。

Web/クラウド連携に弱い

  • PC以外では扱いづらい : スマホやタブレットからはExcelブックが扱いづらいです。マルチデバイス/モバイル対応機能が標準搭載でありません。Android / iPhone用のアプリを入れてもExcelブックの閲覧・編集作業がやりづらいことが多いです。
  • Web経由で開けない : 標準機能だけでは、「Web経由であらゆる場所からExcelブックを開く」ことができません。
 

カスタマイズ起因の弱点

Excelにはカスタマイズ起因の弱点があります。カスタマイズ起因の弱点とは、ルールや処理内容・ロジックなど、独自に環境や設定を自作・構築していくことにより、システムが複雑化して発生する弱点のことです。Excelに限らず、他のツールでもカスタマイズの規模が増えると発生します。

例としては、Excel関数を使って複雑すぎる仕組みを作ったときに発生します。
ノーコードやローコードと比べて必要なスキルレベルが高い、プログラミングが必要なコード(マクロ/VBAなど)ベースのツールほど発生しやすいです。
ノーコード/ローコードツールであっても、連携させるアプリの数が膨大になり、接続点や設定項目が増え、システム全体の規模が大きくなるほど複雑化していき、カスタマイズ起因の弱点が顕在化してきます。

カスタム起因の弱点には以下があります。

  • ブラックボックス化・属人化リスクが生じる
  • 運用・保守の負担が大きくなる
  • 不具合・計算ミスのリスクが生じる

ブラックボックス化・属人化リスクが生じる

カスタマイズをしすぎるとシステムが複雑化し、カスタマイズした本人のみに依存したツールとなり、業務が属人化します。複雑すぎると、構築した本人でもメンテナンスが難しくなり、ブラックボックス化します。ブラックボックス化してしまうと、仕組みの読解に膨大な工数が発生したり、作成者不在で運用停止したりなどのリスクも生じます。

運用・保守の負担が大きくなる

カスタマイズ量の多いツールは、運用・保守の負担が大きくなります。ツールを使い始めるまでにも、必要な機能を洗い出し、実装するための設計、ツール作成の開発の工程が必要です。ツールを使い始めてからも、発生した不具合への対応や、機能の調整・追加などのすべてを自前で行う必要があり、膨大な管理工数が発生する可能性があります。

学習コストの観点での負担も無視できません。ツール作成でプログラミングを使用する場合は、作成・維持管理のためにプログラミング言語のスキル習得が必要になります。ツールの用途によっては、業務内容や法制度関連などの高度な専門知識が求められるケースも出てきます。

不具合・計算ミスのリスクが生じる

ツールを自作し複雑化していくと、ロジックの不備やバグが発生しやすくなり、信頼性を担保しにくくなります。

ツールの用途によっては、法改正に合わせて機能を調整しなければなりませんが、法の解釈が間違っていたり、ツールに実装した機能に不備があったりした場合には、法に抵触するリスクも発生します。

限界を突破する方法|活Excel / 脱Excelを選択

簡易ロードマップ

Excelに限界を感じている場合、限界を突破するには、活Excelか脱Excelかを選択することになります。

 

活エクセルとは

端的に言えば「活Excel」とは、Excel+α によって機能を拡張 してExcelの弱点・課題に対処していくことです。別のツール(連携ツール)の併用や、Excel標準機能・設計・運用方法の工夫などにより、Excelを使い続けて限界を突破します。

コストを小さく進められる、ステップバイステップ(スモールスタート)で進められる点が大きなメリットです。一方で、 システム全体が複雑化しやすく、「カスタマイズ起因の弱点」にぶつかる可能性が高い というデメリットがあります。

 

脱エクセルとは

「脱Excel」とは、Excelから 代替ツールに乗り換えること です。乗り換え先のツールに依存しますが、Excelの苦手領域に該当する機能を使うことができるようになります。

導入コストや乗り換えコストがかかりますが、「カスタマイズ起因のExcelの弱点」が発生しにくいため、属人化や運用・保守の負担増加、不具合発生のリスクは小さくなります。

活Excel / 脱Excelの判断基準

「大規模/高度なデータ処理がしたい」「共有やツール間連携の機能を強化したい」など、アプリ起因のExcelの弱点に関して限界を感じている場合は、以下を基準にして脱Excelするか、しないかを選択するとよいでしょう。

【脱Excelが適しているパターン】

  • 必要な機能を持つ代替ツールが存在する。
  • 予算を確保できる。移行期間が十分にある。
  • Excelベースでシステム構築すると膨大な工数がかかる。またはすぐに高品質な性能が必要。
  • 属人化リスク、運用・保守の負担を最小限にしたい。
  • 不具合発生を許容できない。法的リスクが生じる。
  • 使用者は大人数(数十人超え)になる。

脱エクセルの手順

脱Excelを行う場合は、以下の手順で行うと失敗が少ないでしょう。

  • ステップ1. 課題の洗い出し
  • ステップ2. ツールの候補選定
  • ステップ3. お試し運用
  • ステップ4. 採否の決定
  • ステップ5. ツールの移行
吉峰
吉峰

よくある失敗例として、「代替ツールが使いづらい。本当に必要な機能が搭載されていない。「代替ツールに適応できず、結局使い慣れたExcelに戻ってしまう。「既存のデータを代替ツールに読み込ませるのが難しく、移行するのにつまづいた。があります。

 

ステップ1. 課題の洗い出し

Excelを使っている業務を洗い出し、そこから生じている課題を列挙します。課題を見つけ出すときには、「アプリ起因の弱点」と「カスタマイズ起因の弱点」の両方のExcelの弱点に着目しておこなうと、抜け・漏れが少なくなるでしょう。

課題が出てきたら、それぞれどのくらい深刻かを評価していきます。「大きく時間をロスさせている」「頻繁に遭遇しており、今後も発生しうる」「失敗が許されない」というものほど深刻度が大きいです。一方で、「なんとなく違和感があるが、実はたいした問題ではない」というような軽微な課題であれば、深刻度は小さいです。

 

ステップ2. ツールの候補選定

解消すべき深刻度の大きい課題が特定できたら、課題解決につながるツールを選択します。

【ツール選びのポイント】

  • 課題解決に必要な機能が使えるか。
  • 導入コスト、必要な予算はどの程度になるか
  • 使用したい時期までに使えるか
  • サービス終了のリスクは小さいか
    (サービスの運用歴や導入実績などが参考になる)
 

ステップ3. お試し運用

代替ツールには、無料お試し期間が存在するケースがほとんどです。この期間を利用し、試しに使ってみるのがオススメです。ほとんどの場合、既存のツール・運用方法も並行して業務を進めることになり手間が増えるため、繁忙期は避けて行いましょう。

【使用時の評価ポイント】

  • 求めていた機能は問題なく使えるか。
  • 操作性に問題はないか。膨大な教育コストが発生しないか
    (Excelに近い操作性だとコスト小)
  • 乗り換えはスムーズにできそうか
    (Excelブックなどの既存データの一括読み込み機能があると楽)

利用予定人数が多い場合は、まずは少人数で試してみて、徐々に規模を拡大していくとよいでしょう。

 

ステップ4. 採否の決定

実際に代替ツールを使ってみて、乗り換えるかどうかを決定します。複数人で試していた場合は、関係者全員にヒアリングを行い、意見を聞きましょう。導入コストに見合った効果が見込めるのであれば、代替ツールに乗り換える価値があります。

 

ステップ5. ツールの移行

Excelから代替ツールへ移行することが決定したら、代替ツールの導入、関係者への通知、運用ルール決め、既存データの移行を行います。操作性に癖があったり、運用上の注意点などがある場合は、社内講習などの教育も必要になってくるでしょう。

代替ツール

代替ツール

脱Excelをする場合の乗り換え先には、主に3つの候補があります(ただし、内1つは大企業向け)

 

専用業務SaaS

専用業務SaaSは、特定業務に特化したツールです。Web上で動作し、契約すればすぐに使用できます。法改正対応やコンプライアンス準拠が必要で、専門知識が必要になる定型業務では特にオススメの選択肢になります。

例)

  • 経理 → freee / マネーフォワード
  • 勤怠 → KING OF TIME
  • CRM → Salesforce / HubSpot
  • 在庫 → 在庫管理SaaS
 

SaaS型ノーコード業務アプリ/データ管理ツール

SaaS型ノーコード業務アプリ/データ管理ツールは、共有、Web/クラウド連携に強い汎用的な業務ツールです。こちらもWeb上で動作し、契約すればすぐに使用できます。

簡易業務システム開発機能を備えたツールもあり、さまざまな用途に合わせてノーコード/ローコードでアプリ・ツールが自作できます。補助的・部分的にExcelを併用することも多いため、やや「活Excel」寄りの位置づけにあるツールです。ツールを自作した場合は、法改正などへの自動対応は限定的になります(ただしノーコード/ローコードで改修しやすいため、比較的対応はしやすい)

例)

  • kintone
  • Airtable
  • Notion
  • Coda
  • Googleスプレッドシート
 

自社システム

自社システムは、社内用に独自開発するクラウド / オンプレミス動作のシステムのことです。本格的な専用データベースを使い、各社に応じて必要機能を盛り込みます。膨大な予算や開発リソースを確保できる大企業が採用するケースが多く、中小企業ではあまり選択されません。

まとめ|脱Excelには最適な代替ツール選びを

業務でExcelを使用するときの弱点と、そこから見えてくる限界、対策方法について説明しました。対策方法としては活Excelと脱Excelの2通りがあり、それぞれの状況にあった選択が重要です。

吉峰
吉峰

脱Excelをする場合は、ツール選びが非常に重要となります。直面している課題が解決できるのか、必要な要件を満たしているのかを、複数のツールを比較してよく検討しましょう。